家族

3/3
前へ
/62ページ
次へ
「昔からなのよねえ…」 唐揚げを咀嚼していると、母親が夕貴を見ながら言った。 「え?何が?」 菜々美が母親を見る。 「男の子にモテるの、ゆうちゃんて」 「んぐっ」 唐揚げが喉に詰まりかけた。 「そうだっけ?」 菜々美は、楽しそうに聞いている。 「そうなのよー。小さい頃よく行ってた公園でもね。男の子達がゆうちゃんを取り合ってね」 フフっと母親は笑っている。 「あー、可愛かったからねー。女の子と間違えてたんじゃない?その子達」 菜々美も笑っている。 なんとなく、そんな記憶がないことも無い。 けれど、小学生になってからは、大智がいつも守ってくれて被害にあうことは無かった。 「ま、私も悪いのよねー。ゆうちゃんなんて呼んでたら、女の子かと思うわよね」 あはは…と母親は笑った。 本当にそうだ。 けれど、今回の藤堂に関しては、ハッキリ「可愛い男の子」と言われている。 何故、好かれているのか皆目検討がつかなかった。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

253人が本棚に入れています
本棚に追加