6:父親の憂鬱

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「お父さま。失礼します」  MJは雲雀の部屋へ入ると、入口から先に進もうとせず、謝罪の言葉を口にした。 「あの、今日は本当にごめんなさい。連絡したかったけど、通信機が濡れて壊れてしまって…」 「それは運が悪かったね。…寒くはないかい?」  よかった。いつもの優しい父親の顔だ。  雲雀の声かけに、MJはほっとした。  雲雀は小さくため息をつくと、手招きして娘を近くへ呼んだ。立ち上がると優しく彼女の頭をなでる。優しさと心配そうな気持ちが入り混じった表情で話しかけた。 「…一週間は外出禁止だ。いいね?」 「はい…」 「その間は手紙でもメールでも電話でも、雅と連絡をとってはいけない」 「はい……」  MJは十分反省している様子だ。罰はこれくらいでいいだろう。 「風邪を引かないように、温かくしなさい」 「はい……お父さま」 「なんだい?」 「心配かけて、ごめんなさい」  頭を深く下げるMJが顔を上げたタイミングで、彼女の胸元からネックレスが出てきた。  綺麗な指輪が付けられている。
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