1:彼の思惑

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 雲雀が自分の恋人、シエルと付き合い始めて1年半になる。  これまでのところ、いわゆるプラトニックな関係を続けており、キス以上のことはしていない。  雲雀の一目惚れから始まった彼女との恋は、順調に進んでいる。お互い忙しいため会うのは週に一度だが、電話をしたり、メールをしたり、文字を書くことが好きだというシエルとは時折手紙でやりとりをすることもあった。  これまでに大きな喧嘩をしたことはない。驚くほどに雲雀とシエルは好みも意見も一致した。また、非常に賢い彼女に意見を求めれば的確な回答が返ってくる。彼女と話をすることで雲雀は新たな見聞を広げられることが嬉しくもあった。  シエルはいつも朗らかで、誰とでもすぐに打ち解けることができる。  彼女と知り合った人はみんな、彼女のことが大好きになるのだ。…それは雲雀としてはある意味心配でもあったが。  今の関係に何の不満もなかった。  しかし、この『ただ幸せな時間』がいつまでも続くわけではないと、雲雀は思っていた。  付き合いが長くなれば、色々と先のことも考えるようにもなる。  シエルがどう思っているかは分からない。しかし雲雀は彼女と次のステップへ進みたいと考えていた。  彼にとって『次のステップ』とは。 「僕は…彼女に……プロポーズを考えているんだが…」
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