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「そうじゃなくて…って、え?」
聞こえてきた高い声のトーンに違和感を感じた雲雀が再び顔を上げると、シエルと自分との間に小さな生物が立っていた。
「うわっ!」
彼の視線につられたシエルもその生物を確認し、悲鳴を上げた。
「きゃっ!?」
目と鼻の先にいるそれは30センチほどの大きさで、全身が藻のようなもので覆われており、四か所に小さな突起がある。おそらく手足と思われるが、定かではない。
雲雀から見ると時折藻の間から金色に光るものが二つ見える。目か何かだろうか。
二人は黙ってそれを見ていたところ、口が位置すると思われる場所がもぞもぞとうごめき、言葉が発せられた。
「…で、ナンナノ?」
あまりの気持ち悪さに言葉を失っていた二人だったが、ここでようやく気が付いた。目の前にいるものはエルフの一種だろう。雲雀はシエルを抱き寄せ立ち上がると、そのものから距離を取った。
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