7人が本棚に入れています
本棚に追加
【エルフとは】
この世界においてエルフとは、未知の種族である。その歴史は古く、世界が誕生した原始の時代から存在しているとも言われている。それにも関わらずエルフの生体の全貌は明らかにされていない。
形状はさまざまで、シンプルな形状から、植物や動物、人の形をしたエルフも存在しているというが、そのほとんどは話すことができてもコミュニケーションを取ることは非常に難しい。
「で、ナンナノってキイテんだけど?」
今二人の目の前にいるこのエルフは同じ質問を繰り返している。先ほどの雲雀の言葉の続きがよほど気になるのだろうか。
「…お前に答える義理はない」
「はあああああ…コレダケきにさせておいて、ソレはナイんじゃなあい???」
怒っているのだろうか、エルフの体を覆う藻が逆立っている。
「待って雲雀。この手のエルフには普通の会話は通じないわ」
それが全く得体の知れないものではなく、エルフであることが分かり少し安心したのか、シエルは冷静に雲雀に話しかけた。
シエルは以前、エルフとのコミュニケーションについて研究したことがある。彼女によれば、しゃべるエルフの中でも『同じことを話す、一方的に話す、急に怒り出す』という特徴を持つエルフは……
話すだけ無駄である。すぐに逃げるか、退治するほうが良い。
その種族の特性から、昔からエルフというのは退治される対象だった。
雲雀も過去に何度か、世界各国に出現し人々に害を与えるエルフを退治してきた。
「どうする?じゃあ、倒すほうがいい?」
「そうね、できれば向こうが勝手に逃げてくれればいいんだけど……」
「ムシするなぁぁぁぁ!」
エルフは怒っている。
町の人が『出る』と噂するのは、てっきり幽霊の類のものかと思ったが、エルフのことだったようだ。
確かに、このようなエルフに絡まれても厄介である。
見たところ雑魚だろうが、どんな力を持っているとも限らない。警戒するに越したことはないだろう。とは言え倒すとなれば、雲雀の力をもってすれば簡単に倒すことができるはずだ。
最初のコメントを投稿しよう!