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「……」
「……」
対峙する二組の男女。
誰が何をしているのかは、状況を見れば明らかだろう。
雲雀とシエルは、大きな食器棚から転がり出てきた男女に軽蔑の眼差しを向けた。
「……ネール。ここで何をしている?」
主人に名前を呼ばれたネールは、すぐさま体勢を整え、頭を垂れる。
「はっ。雲雀様の勇姿を見届けるべく、待機しておりました」
要は覗き見である。
さもここに自分がいることが当たり前かのように言う側近の様子に、雲雀は怒る気力も失せた。声にもならないようなうめき声をあげて頭を抱える。
一方で顔を真っ赤にして怒りと恥ずかしさで体を震わせていたのはシエルだった。
「らっ…ラーナっっ!!あなたっ…なんで……っ!!!」
「シエルごめん~~!いや、ネール様が二人の様子を見守るって言うからさ~!ほらっ、私もすごくすっごく気になっていたし…それに見て!もし二人がホントにここで始めちゃうようだったら、聞かないように耳栓持ってきたし!!」
「そういう問題じゃないでしょ!?」
どうしてラーナとネールが一緒にいるのか、いつから隠れていたのかなど、気になることはたくさんあったが、これまでの様子を見られていたという事実がシエルの頭に血をのぼらせる。
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