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「…プロポーズ、ですか?」
ネールは深いグリーンの目を大きく見開いて雲雀の言ったことを繰り返した。その声色には明らかに驚いている様子が感じられる。
ネールが驚くのも無理もない。
雲雀とシエルは年頃の男女にも関わらず周囲から見てじれったい付き合いを続けている。それがここでいきなりプロポーズを考えているというのだ。
しかし雲雀はそんなネールのことは気にも留めていないようだ。ぶつぶつと話し続ける。
「…もうすぐ僕は国王にもなるのだし、結婚のことも考えないといけない。というか…結婚するならできればシエルと……」
「……雲雀様は、結婚についてシエルさんと話をなさったことはあるのですか?」
ネールは頭に浮かんだ疑問を口にした。
「……………いや…一度も……」
答えるまで長い沈黙があったが、雲雀が言ったことはそれだけだった。そのまま彼は頭を抱えた。
ネールの言いたいことはよく分かる。
シエルと普段、話をする中で、これまで結婚の『け』の字も出たことがない。いきなりプロポーズをするのではなく、お互いの結婚観であったり、これから先の付き合いについて話をするほうがいいのだろう。
二人は一般的なカップルではないのだ。……そうさせているのは雲雀の地位のせいだが。
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