6:父親の憂鬱

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 そもそも出掛け先を雲雀は聞いていなかった。12歳と16歳の子どもが自分たちだけで行くには、ルーラン湖は少し遠いように雲雀は思った。 「雅。君もまだ未成年だ。行き先を告げずに遠出するのは感心しないね」 「も、申し訳ありません……」 「とにかく二人とも中へ入りなさい。雅、君は今晩は客室で休みなさい。そのままでは風邪を引く。体を温めなさい」 「え、いやでもオレは帰り…」 「もう時間も遅い。ロックレイには私から伝えておくから、君は休みなさい」  雅に反論の余地を与えず雲雀は続けた。 「は、はい……」  雅の住む国は彼の飛ぶスピードで帰れば3時間程度で帰れるだろうが、今からだと真夜中を過ぎる。  彼の父親、ロックレイは気にしないと言うだろうが、雲雀は気にする。保護者として、未成年の少年を真夜中に一人で帰らせるわけにはいかない。びしょ濡れで体力も消耗しているだろう。  雲雀はすぐに召使いを呼ぶと、雅を案内するよう言いつけた。 「それからMJ。お前はシャワーで温まったら後で私の部屋へ来るように」 「…わかりました、お父さま…」  父親と雅のやり取りを横で聞いて、次は自分が怒られる番だと思ったMJは、体を小さくして指示に従った。
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