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「MJ、そのネックレスは?」
「えっ?あ、これですか??雅にもらったもので……」
その一言に、雲雀の表情が変わる。
「ほう、雅に?」
MJが男からアクセサリーをもらうなど、今までにあっただろうか。
「うん、指輪なんだけど…本当はもっと昔にもらったもので、この前壊してしまったの。直してもらった指輪を、また雅がもってきてくれたんだ!指輪はまだおっきいから着けられないんだけど、代わりにネックレスにしてくれたの。ずっと身に着けていられるようにって」
「指輪……」
嬉しそうに話すMJに対して雲雀が微妙な心境になっていることは言うまでもない。
「……それを今日、ルーラン湖で?」
「えっと、うん、そうですけど…?」
「もらっただけか?なにか言われたとかは?」
「え?」
MJは雲雀の質問の意図が分からず、首を傾げた。
しかし雲雀は無言で、その指輪を見つめている。
「……」
「…あの、お父さま?」
雲雀はしばらく無言だったが、一度目を閉じてゆっくりと開けると、MJを見てふっと笑った。
「…ルーラン湖は、きれいだったろう?」
どうやら雲雀の中で、今の会話はリセットされたようだ。
雲雀の笑顔に、MJも嬉しくなった。会話が急に変わったことはあまり気にしていないようだ。よく言えば純真か。
「…うん、とっても!お父さまも行ったことがあるの?」
「ああ、あそこは……私とシエルの、思い出の場所だからね」
「お母さまとの?聞かせてくださる?」
雲雀は愛娘の純粋な笑顔を見て首を振った。
「いや、お前にはまだ早い。また、いつかね」
ええ~、とつまらなさそうに口を尖らせるMJにおやすみと言い、雲雀はMJを部屋に帰した。
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