6:父親の憂鬱

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「MJ、そのネックレスは?」 「えっ?あ、これですか??雅にもらったもので……」  その一言に、雲雀の表情が変わる。 「ほう、雅に?」  MJが男からアクセサリーをもらうなど、今までにあっただろうか。 「うん、指輪なんだけど…本当はもっと昔にもらったもので、この前壊してしまったの。直してもらった指輪を、また雅がもってきてくれたんだ!指輪はまだおっきいから着けられないんだけど、代わりにネックレスにしてくれたの。ずっと身に着けていられるようにって」 「指輪……」  嬉しそうに話すMJに対して雲雀が微妙な心境になっていることは言うまでもない。 「……それを今日、ルーラン湖で?」 「えっと、うん、そうですけど…?」 「もらっただけか?なにか言われたとかは?」 「え?」  MJは雲雀の質問の意図が分からず、首を傾げた。  しかし雲雀は無言で、その指輪を見つめている。 「……」 「…あの、お父さま?」  雲雀はしばらく無言だったが、一度目を閉じてゆっくりと開けると、MJを見てふっと笑った。 「…ルーラン湖は、きれいだったろう?」  どうやら雲雀の中で、今の会話はリセットされたようだ。  雲雀の笑顔に、MJも嬉しくなった。会話が急に変わったことはあまり気にしていないようだ。よく言えば純真か。 「…うん、とっても!お父さまも行ったことがあるの?」 「ああ、あそこは……私とシエルの、思い出の場所だからね」 「お母さまとの?聞かせてくださる?」  雲雀は愛娘の純粋な笑顔を見て首を振った。 「いや、お前にはまだ早い。また、いつかね」  ええ~、とつまらなさそうに口を尖らせるMJにおやすみと言い、雲雀はMJを部屋に帰した。
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