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第一章 10歳の誕生日
美守は他の人たちには全く知らないところでヘトヘトになったのちに普通に授業を受け、学校で生活をして、授業を終えて帰る通学路。
今日は低学年の頃からやっている剣道の稽古の日でもある。四年目になる。週に2回、大変だが楽しさの方が多い。まずは一旦家に帰る。
そんな彼の帰り道は、周りから見れば一人なのだが、そうではない。
『ちくしょう、坊主……覚えていやがれ』
と途中まであとをつけてきた首無し男。この通学路で交通事故に遭い死んだ昔の霊がお化けになりこの道路に残っている。
とてもおどろおどろしく、死んだ際にも恨みをかなり募らせておりその形が見た目にも表れている。きっとこれを普通の一般の人が見たら失神してトラウマになるなと美守は思っている。
だが美守の横にいたワンピースを着た少女がそんなおどろおどろしい首無し男を消したのだ。
ワンピースを着た彼女は美守が通う学校の門で轢かれた女の子の霊。彼女は学校の門から数十メートル先までついてくる。噂によるとその距離まで血が流れたとか。
この子もかなり前に亡くなった児童である。
首無し男を美守の前では消したものの
『私は信じてたのよ……花子さんは無事に脱出できたけど』
と言う。
「ほんと、ごめんね……」
『でも話を聞いてくれてたし、私はそこまで恨まない。じゃあまたね』
「うん、またね……」
美守はフゥ、とため息をつく。まだやさしいものといたか、と。
美守は生まれてからこの方ずっと人間だけでなくて霊やお化けもみえてしまう、それが当たり前のwith霊生活状態ではあるが、まわりのひとからしたらみえないもののため他の同世代の四年生に比べて美守の優しい性格も相まって気苦労はかなり多いようだ。
所々に霊やお化けはいる。でもそれは見慣れた風景。子供の頃は全部一緒だと思っていたが、歳を重ねるうちにだんだん区別はついてきた。
だからといって除外することなく、分け隔てなく接してきた。
そしてようやく家に着く。美守の家は見た目はアンティークな喫茶店だが母親のやっている探偵事務所、父親のやっている喫茶店と住まいである住宅が一緒になった不思議な構造なのである。
探偵事務所と喫茶店と家は別々に入り口はあるものの、全部つながっている。大抵いつも喫茶店は開いているから美守は喫茶店の入り口から入るのだ。
カランコロン。
いつもと変わらぬ玄関のチャイム。
と同時に……
パーン!
という音がした。しかも何度も。
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