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因みにボクも細かい意匠は異なりますが、神代の御子と似たような礼装を着ていますが、現在は外套を羽織って隠しています。更に余談をすると、此処──王都フンドゥリアやボクたちが住んでいるルニーン・タウンは地形やら何やらの影響で四季の変化が乏しく、年間を通して温暖な気候なんですが、やはり今現在の季節──冬は心なしか若干寒いです。
ま、そんなワケで、ボクの先の「──目立ちますね……」発言です。
目立つ神代の御子の所為で、自由行動が取りにくくなるのは実に腹立たしいですが、今さら無碍に追い返すのも大人気ないので、ボクは神代の御子達の同行を黙認します。
──が、やはり、先の自分の発言通りの“目立つ”のは勘弁願いたいところです。
なので────。
「うっわ~☆ 可愛い洋服がい~っぱいある~☆」
目に付いた服屋──ブティックに入り、神代の御子の礼装に代わる衣服を探します。
燥ぐ神代の御子を尻目に店内を眺めていると、
「あの、平野さん。私まで服を買っていただかなくても……──」
遠慮がちに声を掛けてくるユーウちゃん。
ボクはそんな彼女に対して、
「ここの繁華街が王立学園の生徒達御用達の街とはいえ、現在の時間帯に制服を着た生徒が彷徨くのは逆に目立ちますから、遠慮せず気に入った物を幾らでも手に取ってください」
大人の余裕を見せながら、諭します。
「…………確かに。この時間帯では、この学園の制服は目立ってしまいますね。分かりました。平野さんのご厚意に甘えさせていただきます」
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