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さて、ボクが再び店内をボーッと眺めていると、
「……あの、円さま。自分は円さまの護衛です。なのに何故、自分まで着替えをしなくては……?」
今度はアイナちゃんが遠慮と困惑を混ぜながら、問うてきました。
そんな彼女にボクは、
「今日一日のボクの護衛はマモリータさんが為て下さってます。なので、もう半日ほどですがアイナちゃんにとっては今日はボクの専属の護衛に就いてから最初で最後の休暇になるやもしれません。ですから、アイナちゃんには今日に至るまでの労の労いも兼ねて、細やかながら休暇を目一杯楽しんでもらおうと思って」
日頃の感謝の意を以て、問いの答えとします。
「!? ……そうだったのですか。…………了解しました。不肖フンドゥース王国軍騎士団所属騎士アイナ・ガーディトン、円さまのお言葉に甘えて休暇を取らせていただきます」
「うん。あんまり普段と変わらないかもしれないけど、休暇を楽しんでね」
「はい」
そう返事したアイナちゃんはボクの専属護衛に就いて以来、ボクには見せることのなくなった素の笑顔を見せてくれました。
ボクはそのアイナちゃんの素の笑顔にほっこりしながら、三度、店内を眺めていると、
「わ~い☆ 洋服、幾らでも選んでいいんだ~☆」
「はぁ?! 貴女には言ってませんよ、神代の御──シャル。貴女に“幾らでも”って言った日には「お店にあるもの全部☆」とか言い出しかねませんからね、貴女は一着だけです!」
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