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「──ところで、円さま。円さまはお着替えは為さらないので?」
「ん? ああ、ボクはホラ、外套がありますから、態々着替える必要は……──」
アイナちゃんのふとした問いにボクが答えていると、
「え~、マドカちゃんも着替えようよ~☆」
「そうですよ、平野さん。一人だけ外套を纏っているのは変に目立ちますよ?」
シャルとユーウちゃんがやってきて、ボクも服を着替えるように促してきます。
「…………そう、ですね。それでは、ボクも着替えるとしましょう」
彼女たちの言い分に一理あるとボクは思い、そう口にします。
すると、
「なら、わたしがマドカちゃんの着替えを手伝ってあげる☆ マドカちゃんの前世には散々お世話になったから、ほんの恩返し☆」
「あ、私も平野さんの着替えを手伝わせてください」
「自分も円さまのお着替え、お手伝いします」
皆、口を揃えて“ボクの着替えを手伝う”と宣うや、ボクの返事を待つことなく、ボクを試着室のある店内の区画へと少々強引に誘います。
「──ちょっ、そんな押さなくても、自分の足で歩けますから……。んなっ!? アイナちゃん、どさくさに紛れで何処触ってるんですかっ?!」
──さて、ブティックで一頻りファッションショー紛いな事を姦しくした後に、購入した衣服に着替えたボクたちは再び繁華街の大通りを今度は昼食を取る店を探しながら往きます。
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