おはよう。そしてさようなら

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幼女がニヤリと嗤う。なんだか嫌な予感しかしないけれど、血を流しすぎた。そもそもこのまま生きていること事態が不思議なくらいだ。 「ところで、君、ゴーレムになる覚悟はあるかい?」 最後に幼女がそう言ったのが聞こえたけれど、もう答える余裕はなかった。 ========================================= 少年が意識を失った。両腕、両足を失い、大量の出血だ。今まで喋れたこと自体、ほとんど奇跡と言っても間違いないだろう。金髪碧眼の幼女はニヤリと嗤う。 この少年の持つ可能性。何度も失敗ばかりで諦めかけていたあの計画を達成できる可能性があるなら、両腕、両足を失った芋虫だろうと使う覚悟だった。 「この少年の両腕と両足を持ってきてくれ」 芋虫少年の近くに転がる生首に、幼女は言う。 「はーいって、『あれ』は追わなくていいんですか?」 「構わんよ。日本刀は破壊した。首なしで追いかけて余計な面倒を起こす必要はないよ。近いうちに『あれ』も回収する。急げ。死ぬぞ」 「はーい。了解です。ご主人様」 芋虫少年の了解もなく、斬り落とされた両手と両足を回収し、血塗れの現場から幼女達は消えた。 ========================================= 気がつくと見知らぬ天井を見上げていた。チラリと視線を向ければ、椅子に座っている。ブルマ少女がコックリ、コックリと寝息をたてている。 それはいい。それはいいのだけれどブルマ少女の切断された身体と生首が繋がっていた。驚きの連続でうまく整理ができない頭で必死に考える。 「うん。わからん」 ネクロマンシーと名乗るボクッ子幼女に。日本刀を振り回す殺人ワンピース少女。そしてコックリ、コックリと寝息をたてているゾンビ? 少女の首が今にも落ちそうだった。 ずいぶん雑に縫合でもしたのか、生首が転げ落ちそうになっている。ブルマ少女の身体がユラユラとゆれる、連動して生首がゆれる。 スースーと可愛らしい寝息だけれど、身体のつぎはぎが痛々しい。よくゲームしていて徹夜で寝落ちすることが多いからよくわかる。 彼女の生首はあと少しで落ちる。もし、こんな現場を誰かに見られたら俺が殺人犯だ。まぁ、目の前にいるのは自称ゾンビらしいけれど。 もしも手足があったら、彼女の頭を支えることもできたのにと思った瞬間だった。ブチブチと糸が切れる音と共に彼女の生首が落ちた。 危ないと思うと同時に動いていた。芋虫の身体で何ができる? え? 「ある?」斬り落とされた腕があった。両足もあった。それに伴う激痛。 「あ、おはようございます」 パチリと目を開いたブルマ少女がニッコリ笑い。 「って、私の生首を持ち逃げにして何をするつもりですか!? 抵抗できない私にえ、エッチなことをするつもりでしたねっ!!」 「え? いや、ごかっ」 誤解だと言う前にブルマ少女の鋭い拳が俺の顔面に叩き込まれた。なんでだ? 「やぁ、おはよう。よく眠れたかい?」 ブルマ少女にフルボッコにされたあと、金髪碧眼の幼女が現れた。暑苦しいゴスロリ衣装である。 「よく眠れたように見えるなら、眼科に行け」 「軽口が叩けるほどには回復したらしいね」 よかった。よかったと幼女が嗤う。悪魔のような笑顔だ。 「まぁ、難しい説明をしても混乱するだけだろうから、簡単に説明するよ」 「お、おう」 「ボクの名前はレムリアンシード。偉大なネクロマンシーさ」 「名前なげーよ」 誰だ。レムリアンシードって、適当な予測変換で出てきたワードを採用してないだろうな? ネクロマンシー? 「もう一度、彼女の拳をくらうかい?」 「遠慮します」 「よろしい。ネクロマンシーについて説明は?」 「軽くなら知ってる。確か、死霊術師だったか? 死者を甦らせることができる存在」 「まぁ、それでいいよ。ボクは死霊術だけでなく、失われた秘術を習得してるけどね」
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