lady boy

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暖かい春の季節、進級したばかりの高校2年生の7組の教室。 その端っこの席で、冴えない男たちが楽しく会話していた。 「いいか?何度も言っているように、『ミラージュ』ちゃんは絶対に!ロングのほうがよかった」 感慨深く中村鉄也は友人たちに、今期放送されているアニメのキャラクターに対しての感想を呟いた。 それを聞いた2人の眼鏡とコンタクトの男は首を振る。 「なんでそうとんちんかんなことしか言わないんだ君?いいかい?彼女は自分で髪を切ったんだよ、美容室でおしゃれヘアーにしてもらうのとはわけが違う……姫という身分を捨て、仲間と共に戦うことを決意した証明なんだよ、何がロングのほうがよかっただよ、君はあのシーンの意味を何も理解していない」 「理解はしてるよ、ただロングのほうがよかったって言ってるだけだろうが」 「中村ぁ、お前いい加減しろよ、ロングよりショートのほうがいいに決まってるだろう」 アニメ談義は熱を帯びていく。 人目を憚らず声もどんどん大きくなっていく。 「だいたい俺はな、お前らみたいなにわかが嫌いなんだよ、お前らリアルタイムで見てたのか?3期が始まって人気が出たからって便乗しやがって……俺は1期からちゃんと見てたぞ、ロングのミラージュちゃんにも思い入れがあんだよ、俺の気持ちが分かってたまるか!」 「なに騒いでんだ、毎日毎日オタクどもが……みんなの迷惑なんだよ」 「あん?」 鉄也は気怠そうに振り返り、声をかけてきた男を見た。 がらの悪そうな歩き方で近づいてきた男は、威嚇するように鉄也のグループを見回した。 鉄也以外の生徒はバツの悪そうな顔をして、少し俯く。
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