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「そっちこそ毎日毎日絡んできやがってうっとおしいんだよ、仲間になりたいのか?おすすめのアニメ貸してやろうか?」
「んなわけないだろ!」
「じゃあ何が言いたいんだよ」
「毎日言ってるだろうがよ……陰キャは大人しくしとけって言ってんだ」
「陰キャ?確かに俺は陰毛が濃いけど……なんで知ってんだ?」
「てめぇ舐めてんのか……?」
「舐められてないと思ってたのか?」
男は目を血走らせて鉄也の胸倉に掴みかかった。
しかし彼は勝てない。
鉄也は不遜な表情で男の首を絞めた。
体格も筋力も鉄也のほうが優れている。
鉄也はオタクだが、小学校中学校でハンドボールをやって体を鍛えていたのでガタイはいいのだ。
「今の時代、ヤンキーよりオタクのほうが強いんだよ……オタクを舐めるなよ」
メキメキと鉄也の太い指が男の首に食い込んでいく。
教室にいた男女がオロオロとしだし、小さな悲鳴をあげた。
「このまま校長室に一緒に行こうか、引きずってってやるよ」
「は、離せ……」
「おい聞いたかみんな?『離せ』だとよ……『てめぇこのやろう』くらい言えねぇのか情けねぇ」
恨めしそうに男は睨み上げる。
鉄也は表情を崩さず、指の力を強めた。
男は暴れるように手足を動かし、鉄也を攻撃した。
固太りの鉄也の脂肪と筋肉が軟弱な攻撃を跳ね返す。
「離してやれよ」
低く通る声が鉄也の動きを静止させる。
茶髪の髪と整った顔面……
スリムな体だがほどよく筋肉がついた見栄えのいい体。
鋭い眼光で威圧的に鉄也を睨みつける井上響は、ざわついた教室を落ち着かせる。
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