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ヤオは手順を無視して、危険な賭に出ていた。バックアップシステムが、稼働した時点で、復航のシナリオは深刻なはずだ。
ブイ『標準的なアプローチ以外の対処は、飛行船体の設計に逸脱するため、推奨されません。強行するために、同意しますか?』
ヤオ「同意する。」
同意も何も、俺に指令が出た時点で、想定されたシナリオのはずだ。と思いつつ、俺はHMDに映し出された一覧を見た。
ヤオ「なるほどな。セクション9で、反物質用の冷却材が漏れてやがる。」
恐らく、メインシステムによる診断に表示されるであろう、デブリの貫通はセクション09から19辺りに違いない。と、俺は頭の中でシミュレートした。
ヤオ「危険な船外活動が、必要になる。10から09に向かって進み、内部から行くことが標準的なアプローチではある、しかし俺はまだ、死に急ぎたくはないのでな。」
ブイ『倫理判断は、個体生命に委ねられます。』
ヤオ「ブイ。ここから一番近い、船外活動用ポッドが設置されている区画まで、案内してくれ。」
ブイ『サブジャンクション34を通過後、セクション39から40の船外活動用ポッドエリアに、アクセス可能です。ルートを表示します。』
ヤオ「サブジャンクション34か。」
ヤオは移動を開始した。点検用S34と表記された、扉横のレバーをマニュアルに回す。その後は、オープンの方向へ回した。すると点検用通路への扉が開く。
ヤオ「暗いな、電気が来てないのか。」
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