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そして時は経ち、翌朝。
「……かなり大きいな、この学園」
西洋風の校舎の前に立ちながら、思わずつぶやく。
校舎が大きく、敷地が広い。ここに来るまでに少なくとも30分は経っている。
地図なしでは迂闊に出歩けない。
とりあえず校舎の入り口へ向かう。
校舎内に入り、来賓者用の靴箱に靴を入れる。そして持ってきた上靴を履く。
まだ授業中らしく、誰の姿も見当たらない。
静まり返った長い長い廊下を歩く。
校舎1階は職員室や保健室、お菓子や文具も買える小さな売店がある。
売店の横を通り過ぎ、職員室の隣のエレベーターを目指す。
職員室の前を通りかかった時、先生と思われる人とすれ違った。
その人は俺を見た途端、目を見開いて唖然としていた。
軽く会釈をしてそのまま歩く。
………そういえばここまで何人かとすれ違ったが、全員にあんな感じで凝視されたな。
理事長室は5階にある。エレベーターに乗り、ボタンを押す。
しばらくすると理事長室に到着。軽くノックをする。
「入っても大丈夫だよ」
「失礼します」
軽く礼をして中に入る。
ドアの向こうには理事長と思われる人がいた。
「今日から登校する室川龍です。よろしくお願いします」
「うん、君のことはもちろん知っているよ。さっ!そこに座って!」
20代にしか見えない美形の理事長。人が良さそうな顔をしている。
「登校にあたっての基本事項は既に送ってある書類に書いてあるよ。
そしてこれがカードキー。
君は風紀委員長だからブラックカード、どこにでも入れるし学食も全て無料だ。
一般生徒が持っているノーマルカードとは違うから混ざらないようにね。
龍くんの寮の部屋は701号室の1人部屋だよ。
1階の寮長に部屋の鍵をもらってから部屋に向かってね!」
「はい」
詳しい説明を聞き、情報を頭の中に入れる。
学園の基本情報は既に頭の中に入っているため、初めて聞くような情報はあまりなかった。
「それにしても最近の学園は荒れている。
主に僕の甥が原因だね。あの子は甘やかされていたからわがままなのだよ。
僕もなんとかしたいのだけれど理事長は生徒に直接手出しできない。
だからとても困っているんだよ」
「……………つまり俺に暴走している転校生を止めてほしい、ということですね?」
「大変申し訳ないのだけれどそういうことになるね………………引き受けてくれるかい?」
「もちろんです。もともとそのつもりでしたから」
「ありがとう。とても助かるよ」
理事長が立ち上がり、カードキーを差し出す。
「学園生活を楽しんでね。困ったらいつでも理事長室に来なさい」
「はい」
※ ※ ※
一方その頃、1年Aクラスの教室では………
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