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※とある生徒視点
「なんでなんだよ!!!!!友達を無視しちゃダメなんだぞ!!!!!!!!!!」
誰か助けてください、森間くんが怖いです。
大声で騒ぐ森間くん。もうどうしようもありません。
ああ、どうして目をつけられちゃったんでしょうか………………
僕はしがない1年Aクラスの生徒です。ちょっと裕福くらいの庶民ですが特待生として通っています。
始めはとても平和なクラスだったんです。仲の良い友達もいて和気藹々としていました。
しかし、おかしくなったのは森間くんが転校してきてからです。
オタク、いやオタクに失礼ですね。
彼は毬藻を汚くしたようなルックスをしているんです。
陰気臭いような外見とは全く違い、中身はとても恐ろしいです。
爽やかな澤谷くんや一匹狼の狼夜くんたちを虜にし、いつも大きな声で授業中に話しています。
生徒会も落としたらしく、彼らも毎日1年Aクラスに通っています。
親衛隊持ちといつも話している森間くんは、クラスの親衛隊隊員に冷たい視線を向けられていて、森間くんと席が近い僕も居心地が悪いです。
クラス内は殺伐とし、誰1人笑わなくなりました。
「おい!!!!聞いてんのか!!!!!!」
僕はなぜか友達として認識され、毎日付き纏われています。
そして現在。
今日は疲れていたので話しかけてきた彼に返事ができませんでした。
森間くんは無視されたと思いこみ、怒ってしまいました。きっちり並べられていた机をバラバラにしながら暴れています。
花瓶を壁に投げつけ、それを見ていた人たちからの悲鳴が聞こえてきます。
もう授業どころではなくなってしまい、僕たち以外のほとんどの生徒は廊下に避難してしまいました。
「なんで返事しないんだよ!!!!俺たち友達だろ!!!!
あっそうか!!!お前裏切ったんだな⁉︎
友達を裏切るなんて酷いんだぞ!よくないんだぞ!!!!!!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
「なんで無視したんだよ!!!!いじめはよくないんだぞ!!!!」
「無視はよくねぇよな」
「そうですね、これは彼が悪いです。ああ、騒がかわいそう………」
「……………いじめ…………ダメ………」
「あ〜あ!!」
「君、騒くんを無視した!!」
「「一体何様のつもりなんだろうね!!!」」
生徒会の皆様にも悪く言われてしまいました。
もうクラス内に助けてくれそうな味方はいません。先生もプリントを取りに職員室へ行っています。
「決して無視をしたわけではないのです!少しボーッとしていただけでっ!!」
「挙句の果てには言い訳をするんだな!!!!お前は最低だ!!!!」
森間くんが殴りかかってきます。
結局、何度謝っても許してくれませんでした。
殴られる恐怖で足がすくみ、動けません。
ぎゅっと目を瞑り、衝撃を待ちます。
…………あれ?
いつまで経っても覚悟していた痛みが来ません。
「…………………お前は獣か何かか?」
呆れたように発せられる美しい声。
目の前には手を拘束されている森間くん。
見ていた人たちや生徒会の皆様も声が聞こえた方を向いて、目を見開いています。
ゆっくりと見上げます。
森間くんの腕を掴み、見下ろしている背の高い人。
………そこには神と見間違うほどの美形がいました。
美しい黒髪、芸術品のように整った顔立ち。
先程の透き通った低音の声。
美しいサファイアのような瞳は冷たく森間くんを見据えています。
生徒会の皆様と同格、いやそれ以上の美形です。
「あなたは………………」
その容姿に恥ずかしながら見惚れてしまい、目を逸らせません。
「俺は室川。風紀委員長だ」
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