狼さんは戻りたい

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※ちょっと暴力描写あり。 「おい、起きろ」 体を揺さぶられ、意識が覚醒していく。ゆっくりと目を開くと、目の前には強面の顔面があった。 頭が回らない。モヤがかかっているようで頭が情報を処理できていない。 しばらく強面の顔面を眺め続けていると徐々に頭が覚醒していった。 そしてすぐに状況を把握した俺は、思わず青ざめる。 目の前にはガタイの良い強面どもが20人以上。全員俺を囲むようにして見下ろしている。 俺は手足を縛られて地面に転がっており、口に布を入れられている。 「んんっ………」 舌が回らない。 布を突っ込まれているため大きな声が出せない。これでは助けも呼べない。 何もできないと理解した俺は、せめてもの抵抗として相手を思いっきり睨みつける。 そんな俺を見てニヤニヤと気持ち悪くこちらを眺める強面ども。 そのうちの1人が不意に口を開く。 「っはははははは!あの狼夜サマが無様だなぁ!何もできずにおびえてるぜ⁉︎」 「これでやっと鬱憤を晴らせる。ずっっと機会を待ってたんだからなぁ!!」 見覚えのある奴らだ。 たしかチワワ相手に強姦をしようとしていた。平野が阻止して思いっきり奴らをボコったはずだ。 しばらく自宅謹慎になっていたはず、そんな奴らがなぜここに? 「こいつ顔いいよな。俺は余裕でいけるがお前らはどうだ?」 「俺もずっと襲ってみたかったんだ。嫌がる姿なんて見ものだぜ?」 強面どもは気持ちの悪い笑みを浮かべながらこちらを見てくる。 全身を舐め回すように見られ、鳥肌が立つ。 「球技大会中だ。ここは人気もない。思いっきり楽しめるぜ!」 「ははは!!ボコった奴にやられるなんてかわいそうだなw」 顔にキズがある男がカッターを取り出して俺の服を裂いていく。 「………ッんん!んんん!!」 必死に叫ぶが、言葉にならない。 シャツを裂かれ、近くの強面の1人が首元に顔を寄せてくる。 首に生暖かい感触。くちゅくちゅと音が鳴る。 あまりの気持ち悪さに涙が出てくる。 「………んゔゔ!!んんんん!」 鍛えられた身体。涙目で頬は赤く染まっている。そして嫌がり、必死に睨みつけてくるその姿。 「やべ………えっっろ………」 我慢できなくなったのか、見ていた奴らが動き出して俺の身体を弄ってくる。 息が荒くなっており、いやらしい手つきでさまざまなところに触れてくる。 恐怖と生理的嫌悪で涙が溢れて止まらない。 そしていよいよズボンを脱がされかけた時。 ドカンっと大きな音と図太い叫び声が聞こえてきた。
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