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俺は困惑していた。
なぜかって?
その答えは目の前の提案書にある。
目の前の紙には『マリモ撲滅委員会設立許可申請書』と書かれていた。
しっかりまとめられており、1枚目と2枚目には具体的な行動内容から日時までが記されていた。
問題は3枚目からだ。
"マリモ"に対する不満と愚痴がひたすらに綴られている。1枚目を軽く読んだだけでも、筆者はかなり苦労していたことがわかる。
『マリモのせいで今日も残業、まともに寝ることもできない』
『マリモに対する苦情が1時間で25件。それに対応するのは俺たちだぜ?』
『苦情、不満、質問、苦情、苦情、苦情、苦情、苦情、苦情、苦情、電話だけでも忙しい。ゲジュタルト崩壊を起こしそう』
『マリモ撲滅』
『…マリモをゆるすな………………………』
※1部を抜粋してご紹介しております。
5枚目には達筆な字で撲滅と書かれていた。
とりあえず呪われそうな書類(?)を退け、残りの書類を手に取る。
左手でパソコンをうちながら、6枚目の書類に目を通していく。
6枚目には最近の風紀の仕事内容が全て書かれていた。
(この"マリモ"で仕事量が約6倍に増加、器物破損などで被害も多い。見回りに事情聴取、報告書とリストの作成………尋常ではないほどの量の仕事を風紀委員たちが請け負っているのか)
2ヶ月前くらいまでは、仕事量は他の委員会の中でも少ないほうだった。
さらに、制裁と呼ばれるいじめなどもだいぶ減ったと報告されていたはず。
学園では一体何が起こっているのだろうか?
風紀委員たちがわざわざマリモ撲滅委員会を立ち上げようとするほどだ、よっぽどそのマリモは害悪なのだろう。
(そういえば最近学園内で転校生が暴走していると報告が多数あったが……………それに何か関係が?)
疑問は多い。考えれば考えるほど増えていく。
「はぁ………まったく………………」
頭が痛い。
持っていた書類を机に置き、目を瞑る。
……………そのマリモの対策を立てるためには1度自分の目で確認しておいた方がいいな……
椅子に深く腰掛け、コーヒーを啜った。
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