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「形もですが、組織成分もほぼ私たちの肝臓と同等です。機能としても申し分ない動物実験の結果が出ています。今度の手術、楽しみにしていて下さい」
いやが応にも期待を煽るような言い方をした榊原先生の自信は、この数日後に行われた手術結果に現れた。
榊原先生の考案した術式により、アレルギーなどの反応は一切なく、術後の状態も良好だった。
いよいよ、この培養方法でいけるか、と思った一週間後、異常が発見された。
移植した肝臓が、その成長を止めなかったのだ。肥大した肝臓は、横隔膜を圧迫し、胸腔を狭小化させ呼吸困難をきたした。また、小腸、大腸を押しやり、結果、絞扼性イレウスを起こした。それ以外にも、巨大化した肝臓に血液が集中し、重篤な貧血も併発したのだ。
何度か巨大化した肝臓の部分切除を行なったが、再性能が異常に強く、結果的に三度目の部分切除手術後に感染症で命を落とした。
その後、「ちゃんと監視していないから、こんな結果になったんだ。もっと、しっかりと指導監視しろ」と上司からかなりの叱責を受けた。
榊原先生は、「原因は分かっている。臓器単体で培養する方法では、成長をコントロールするホルモンなどの調整がうまくいかなかったのだ。今回の水耕栽培方式から、次に用意していた第二案に切り替える」と連絡があった。視察についても申し入れたが、準備が整ったら連絡すると断られてしまった。結果を焦っていた俺は、モヤモヤしながらも、榊原先生からの連絡を待つしかなかった。
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