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深見の口元に微笑が浮かぶ。前を向いて歩き出すと、後ろから追いかけてくる気配がした。いつの間にか霧島が並んで横を歩いていた。
「と、とにかく今日の仕事は水無月家の取材という事だな」
「あらゆる側面から水無月家に迫っていく仕事だ。まずは水無月家当主へのインタビュー。これは絶対にしないといけない」
「改めるまでも無いだろ。それが本来の目的、仕事じゃないか。君、新聞記者だろ」
「うん、まぁそうなんだけど」とぎこちない態度になる彼を霧島は睨む。彼の中でインタビューがどうでもいいことがこれで分かると言うものだ。
「で、その後だ。その後は水無月家の怪談の調査、あと姉さんについても聞いて回らなくちゃならない。う~ん、時間あるか、これ?」
「やるだけやろうじゃないか。一日限りの助手として頑張ってやる」
すると霧島は何かを見つけたように視線を前へと送った。
「うん? あれか……」
ちょうど坂を登り切るところで大きな門が二人を出迎えた。
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