46人が本棚に入れています
本棚に追加
「ようこそいらっしゃいました」
愛想のよい笑顔で出迎えてくれたのは水無月家当主、水無月隆造である。
年齢は五十歳。歳の割には引き締まった体をしていて若々しく見える。中年にありがちなギラギラした感じは無く、紳士的な空気をまといながらも強いオーラを感じさせ、そこが一般人とはどこか違うと思わせてくる。顔には年相応のしわが刻まれているが、それが大人としての味となり深みとなり、魅力的な人物に見せていた。
「今日はお時間を作っていただいてありがとうございます。今回のインタビュー担当で○○新聞記者の深見信一です。よろしくお願いします」
「水無月グループ社長の水無月隆造です。こちらこそ、地元の新聞に載せていただけるなんて大変光栄です」
名刺を交換し決まりきった挨拶を交わして、三人はソファに腰かけた。ふと当主の視線が霧島に注がれる。
「こちらも新聞記者さんなのかな?」
「すみません、ご挨拶が遅れました。私、霧島照と言います。今日は深見さんのサポートとして同行しました。まだ新人ですが、どうぞよろしくお願いします」
「そうなんだね、よろしく」
「霧島にはカメラを担当してもらいます。インタビュー中やインタビュー後に写真をお撮りしてもよろしいでしょうか?」
「もちろん、構いませんよ」
「では、さっそくインタビューを始めても……」
「ええ」
最初のコメントを投稿しよう!