第一章 取材と怪談

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「ようこそいらっしゃいました」  愛想のよい笑顔で出迎えてくれたのは水無月家当主、水無月隆造である。  年齢は五十歳。歳の割には引き締まった体をしていて若々しく見える。中年にありがちなギラギラした感じは無く、紳士的な空気をまといながらも強いオーラを感じさせ、そこが一般人とはどこか違うと思わせてくる。顔には年相応のしわが刻まれているが、それが大人としての味となり深みとなり、魅力的な人物に見せていた。 「今日はお時間を作っていただいてありがとうございます。今回のインタビュー担当で○○新聞記者の深見信一です。よろしくお願いします」 「水無月グループ社長の水無月隆造です。こちらこそ、地元の新聞に載せていただけるなんて大変光栄です」  名刺を交換し決まりきった挨拶を交わして、三人はソファに腰かけた。ふと当主の視線が霧島に注がれる。 「こちらも新聞記者さんなのかな?」 「すみません、ご挨拶が遅れました。私、霧島照と言います。今日は深見さんのサポートとして同行しました。まだ新人ですが、どうぞよろしくお願いします」 「そうなんだね、よろしく」 「霧島にはカメラを担当してもらいます。インタビュー中やインタビュー後に写真をお撮りしてもよろしいでしょうか?」 「もちろん、構いませんよ」 「では、さっそくインタビューを始めても……」 「ええ」
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