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「んっ……‼」
何度も強く触れては離れていくを、繰り返されて息をする暇もない。和幸は慎文を引き剥がそうと腕を掴んで強く抵抗しても、慎文の力の方が大きいせいか石のように頑なに動かなかった。
「んんっ……。お前な……んふっ」
漸く離された唇に和幸が喋ろうと口を開けたところで、慎文の舌先が滑り込んできて一気に血の気が引いた。口腔内を貪られる感覚が気持ち悪い。
ディープキスは和幸自身初めてじゃない。
何度も付き合っていた彼女としたことがある。だけどこれは、愛を確かめ合ってするというよりは捕食されているに近い感覚で身の危険を案じた。
「んッ……んッ…ふっ」
和幸が拒んでも動じない身体。慎文がキスをしながら更に体を密着させようと近づいてくる。
腕を掴んで必死に抵抗するが、それよりも強い力をかけられたことによって絨毯に押し倒されてしまった。
鼻息を荒くさせながら、和幸の右太腿に自身の昂ったものを当ててくる。刺激を求めて腰を揺らしながら、和幸の腿に擦り付けてくるソレに不快感と恐怖が差し迫ってくる。
「んふッ……。カズくんッ」
和幸は僅かな抵抗力で右腿を持ち上げて、慎文の股間を膝で蹴り上げると奴の唇は離れ、股間を両手で抑えながら転がり倒れていった。
「う……。カズくん痛いよお」
慎文は涙目になりながら訴えてくるが、同情している場合じゃない。和幸は手の甲で唇を拭い、息を切らしながら慎文を睨みつける。
「お前っ、初めてじゃないだろ」
初めてのキスであそこまで出来るとは思えない。完全にキスを知っている奴のものであるということは和幸でも分かった。慎文はゆっくりと起き上がると、こくりと頷く。
「先輩とした。キス以外のこともカズくんとするときに慣れていた方がいいって言われて……」
慎文はてっきりキスもそれ以上も未経験だと思っていた。まだ中学二年生だし、興味があっても経験するのは早くて三年の終わり。大体は高校に上がってからの奴の方が多い。
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