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少し窮屈な浴槽に和幸と体を密着させて浸かる。
自分より一回りほど細い背中を抱いて和幸の肌の感触と体温を全身で感じていた。
疑似じゃなくて、好きな人と本気で愛し合いたかった慎文からしたら、自分の腕の中に収まる和幸が愛おしいくてたまらない。
幸福感で心が満たされていく。
情事を終えた後、久々に体を洗いっこしているうちに、和幸ともう一回シたくなったが、風呂から上がってベッドに入るまで我慢することにした。
「やっぱり、お前に好きって言われると落ち着くわ……」
「ほんと?じゃあ、いっぱい好きって言うよ」
慎文は自らの唇を和幸の耳元まで近づけるとひたすらに囁いた。
「好き、好き、好き。和幸好き……」
慎文が好きだと言うたびに、和幸の耳朶が赤く染まっていく。
「そ、そんなしつこく言わなくていい」
照れに負けたのか、和幸が慎文の口元を押さえつけて、耳元から遠ざけていく。
しつこいと言われようとも何度だって言う。
それで和幸のことを愛しているのだと伝わるのであれば……。
心を繋ぎ止められるのであれば……。
「だって、和幸が好きなのは本当だもん」
和幸の体を更にキツく抱きすくめる。
こんなに幸せな時間が続くとこの幸せのツケが回ってくるのではないかと不安になる。
自分がどれだけ好きだとしても、和幸自身がどれほどまでに自分のことを想ってくれているかは分からない。
少しずつ、受け入れてくれている自覚はあるものの物理的に会える時間は少ない。
離れている間に和幸の熱が冷めてしまうのではないかと不安になることだってある。
「どうしたんだよ。慎文」
そんな僅かな気持ちの変化に気づいたのか、慎文の抱きしめる腕に和幸の手が添えられる。
「和幸とずっと一緒にいたいなぁ……」
四六時中、一緒に居られればこんなに不安になることも無いのに……。
両想いになれて嬉しい反面、不安要素も大きくなる。
思わず漏れてしまった本音を発した後、和幸の様子を伺うように覗き込むと、どこか険しい表情をしていた彼に温度差を感じて漠然とした不安を煽っていた。
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