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わいの名前は 涼石 夏生。
これは、あの頃(小学1年生)を思い出しての話。
ちょっと? 結構? 昔の話。
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1年間を振り返って……
もうすぐ春休みが始まる。今日は、教室を隅々まで掃除する。机のなか、椅子の足、ロッカーの上や後ろまで、みんなで雑巾使って拭きあげた。そして明日は終業式。通信簿を先生から渡されて、1年生、お仕舞いや。
今日は、いろいろ工作で作ったものを持って帰らなあかんから、大きな手提げ袋を持って学校へやってきた。机の上や中にあるものを詰めていく。
えっと、これはボール紙で作った風車。わい、この羽の部分くり抜いて、セロファンテープ貼ってん。こう言うのなんて言えばええんやろ。スケルトン? ちょっと未来っぽくて自慢の風車や。良く覚えてるわ。
× × ×
そうそう、この日は事業参観の日やったんや。
みんなは絵描いたりしてたけど、わい、ピンと閃いたんや。よし! この羽の部分くり抜いてガラス窓みたいにしてやろ。軽くなって早よ回るようになるんちゃうやろか!
そう思ったら、ワクワクが止まらんかった。今、考えたら、みんなが絵描いてる中、わいだけハサミでザックザック厚紙切っていったから、父ちゃんと母ちゃん不安やったかも知れへんな。でも、この時のわいはワクワクでいっぱいやったから、そんな事微塵も考えてなかった。
そうして、わいの風車ができたんや。フーーって息をかけると良く回る。
山本一絵先生がやってきて、わいの風車を見ながら。
「すごいねー。羽をくり抜くなんてはじめて見た。これはアイデア賞やねー」
って。父ちゃんや母ちゃんの前で言ってくれてん。
なんか恥ずかしくてムズムズしたから、わい風車持って走り回ったん覚えてるわ。
先生、他のみんなにも話しかけてたから、わいにはその一言だけやったけど。
「ありがとうな」
あの一言で、わいますます物作るの好きになったんや。
× × ×
フーって風車に息を吹きかけて回してみた。よーく回る。
「コラッ、遊んでないの」って横を通った先生に叱られる。
ハッ、いかん!
はよ片付けな、またみんなより遅れてまうわ。
わいは、次の工作物を取った。えっと、これは小物入れやろ。
簡単な工作やけど、わい苦戦したの覚えてるわ。
× × ×
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