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「私はシャーロット、この森の奥にある教会で暮らすシスターです。あなた、教会には来たことがある? とても楽しい場所なの。よろしければいつでも遊びにいらしてね」
人懐こい笑顔で、ソフィア姫を誘うシャーロット。
よく見ると、彼女の瞳の色は自分と同じエメラルドグリーンをしていました。
土で顔が汚れているものの、なぜだかその顔に見覚えがある気がします。
「ねえ、シャーロット。お互い顔が汚れているわ、洗いましょうよ」
「まあ、さっきまで畑仕事をしていたせいかしら」
恥ずかしいわ、とシャーロットが顔を洗う横でソフィア姫も泥を洗い流しました。
洗い終え、鏡のように澄んだ水面に並ぶ二人の顔を見てシャーロットも気がつきました。
「私たちって!」
「ええ、そっくりでしょう?」
「本当にそっくりだわ! 誰がどう見ても同じ顔よね、私たち」
「シャーロット、あなたの髪色は? 私はね」
マントを脱ぐと豊かな金色の髪が零れました。
「なんて、不思議……!!」
ソフィア姫の髪を見て呆然としたシャーロットもベールを脱ぎました。
「同じだわ」
お互いに金色の髪をした二人が向かい合うと、服装こそ違えどまるで鏡のようでした。
嬉しそうにシャーロットが微笑むと、片側だけ口角をあげ猫のように瞳を細めたソフィア姫が言いました。
「あなたに命令します、シャーロット。私の名前はソフィア姫。この国の姫よ」
この町の誰もが恐れる姫だと言うことを知ったシャーロットは青ざめ、その場に傅きました。
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