韓国セウォル

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韓国セウォル 2014年4月15日、午後9時。韓国の大型旅客船セウォル号は、仁川港から、済州島へ向けて出港した。午後6時30分、出港の予定だったのだが、濃霧による視程低下のため、2時間半、遅れの出港となった。 乗船した客は、安山市の檀園高校の二年生の生徒325人で、生徒たちの修学旅行のための、貸し切りだった。だが、一般客も、108人、乗っていた。 夜、遅い時間だが、高校生たちは、みな、ウキウキした気分だったので、ワイワイと、楽しい、お喋りが、なかなか、止まらなかった。だが、14人の引率の教師たちに、 「もう、遅いから、お喋りは、やめて、寝なさい」 と注意された。生徒たちは、 「はーい」 と、返事して、寝床に就いた。 元気の有り余っている高校生たちは、昼間の活動が、激しいため、自分でも、気づいていない、昼間の疲れから、みな、すぐに、クークー、カーカーと、寝息をたてて、眠りに就いた。 △ 翌朝、生徒たちは、7時に、起きて、7時半に、朝食を食べた。 船内の食堂は、非常に大きく、学校の、体育館ほどの広さがあった。 朝食は、豪華なバイキングで、日本料理、中華料理、イタリアン、フランス料理、インド料理、などが食べ放題だった。 育ち盛りの、高校生たちは、新陳代謝が活発なので、いくら食べても、それは、熱となって体から発散されてしまう。なので、いくら食べても飽きるということを知らない。しかも、生まれて、初めての、豪華客船のデラックスな料理である。生徒たちは、ムシャムシャ、ガツガツと、貪るように、食べに食べた。 「あー。美味しかった」 そう言って、ポンポンと、膨れた腹を叩きながら、客室に戻って行った。 みな、大体、一人が、大人の4人分くらいの量を食べていた。 生徒たちは、食後の、食休み、と言って、ベッドにゴロンと横になった。 そして、お喋りしたり、スマートフォンのアプリをしたり、と、各人が、それぞれ、自分の好きなことをした。 △ 嫌いな勉強からも、解放された修学旅行である。 生徒たちは、束の間の、極楽に、この世の煩雑な、全てのことを忘れていた。 高校生といえども、勉強、勉強、で、高校を卒業し、大学に進学しても、また勉強で、しかも、韓国では、大学を卒業しても、日本と同様、会社に内定をとるのは、非常に厳しい状況である。 △ 8時49分、セウォル号は珍島の西方、東巨次島などからなる巨次群島と孟骨島などからなる孟骨群島との間の孟骨水道を、南東に向かって進み、屏風島と観梅島の間あたりにさしかかっていた。 △ いきなり、「ドン」という大きな音が聞こえた。 そして、船が急激に傾きだした。 「衝突かな?」 生徒の一人が言った。 「いや。こんな、大きな船に、そこらの普通の重量の船が衝突したって、何ともないさ。もし、海軍の戦艦とか空母とか、この船と同じくらいの大きさの船と衝突したのだとしたら、衝突の衝撃の振動が大きく起こるはずさ」 「じゃあ、何なの?」 「この船には、100台、以上の、自動車が積載されているんだ。きっと、船が、傾いたため、それらの車が、船内で、すべって、壁にぶつかったんだろう。僕は、修学旅行で乗る、セウォル号に興味があったから、船に乗る前に、ネットで、調べたから、知っているんだ」 「じゃあ、この船は、どうなるの?」 「そこまでは、わからないよ。でも、まず、大丈夫なんじゃないの」 しかし、船は、どんどん、傾いていく。 「ちょっと、これ、普通じゃないんじゃないの?」 「そ、そうだね」 そう言って、一人の生徒が、スマートフォンで、家に電話した。 他の生徒も、それに、つられるように、スマートフォンで家に電話した。 船内放送が、ないのが、生徒たちを、不安にした。 船は、傾いたままである。 しばしして、やっと、 「指示を出しますので、それに従って行動して下さい」 という、待ちに待った、船内放送が流れてきた。 高校生たちは、ほっと胸を撫で下ろした。 「ふふふ。映画の「タイタニック」みたいで、面白いね」 と、笑い合った。 「無事に、旅行して、帰ってくるより、こういう事故に、遭遇するのは、人生でも、少ない経験だから、かえって面白いや」 と一人が言った。 「そうだね。ははは」 と、檀園高校の生徒たちは、笑い合った。 しばしの時間が経った。 しかし、船内放送は、流れてこない。 高校生たちは、少し、不安になり出した。 しかし、高校生たちは、「指示を出しますので、それに従って行動して下さい」という船内放送を信じて、救助を待った。 △ 「ここは、観梅島に近く、また座礁でもないから、大丈夫だよね」 と、一人の生徒が言った。 それは、心に起こった不安を、打ち消そうとする、気持ちからであるのは、明らかだった。 △ しかし、待っても、一向に、海洋警察の救助隊は、やって来ない。 船室に、水が入り出した。 「船は、かなり、傾いている。それで、船底部分である、この船室に水が入り出した、ということは、船の大部分に、水が侵入している、ということだ」 生徒の一人が言った。 皆は、顔が真っ青になった。 「この状態では、一体、どうやって、救助するんだろう?」 一人が言った。 「海洋警察の救助隊の潜水ダイバーが、潜水用具をもって来てくれて、それを装着して助けてくれるんじゃないの?」 別の一人が言った。 「そうかな。この船は、超大型だし、救助隊の潜水ダイバーも、ここまで、辿り着くには、そうとう、困難なはずだよ。それに、船の傾き具合は、どんどん、大きくなっている。この船は、間違いなく、沈没しかけているんだ。沈没してしまったら、救助隊の潜水ダイバーの救助活動も、極めて困難になるはずだよ。僕たちが助かるか、どうかは、時間との戦いだよ。それに、救助隊の潜水ダイバー達も、こういう事態は、おそらく、想定していないだろうし、その訓練もしていないだろうし、救助用具だって、そんなに、たくさんは、用意していないだろうから、全員、救助するのは、無理だと思う」 生徒の一人が言った。 生徒達の顔が真っ青になった。 「こわいよー」 「死にたくないよー」 「ああっ。神さま」 皆の態度は、一変した。 無理もない。 急に、死の恐怖が、彼らを襲ったのだから。 高校生たちは、まさに、パニック状態になった。 船室に侵入してくる海水は、どんどん、増えていった。 △ 海水の侵入してきた、船室には、愛子と、哲也という二人の生徒がいた。 二人は、檀園学校の同級生で、高校二年生だった。 哲也は、檀園高校の野球部で、ピッチャーだった。 愛子は、野球部のマネージャーだった。 哲也は、二年生ながら、檀園高校の野球部のエースで、ストレートは、140km/hを投げられるほどの実力があった。それと、スライダー、カーブ、チェンジアップ、スプリットなど、全ての変化球が投げられた。 韓国高校対抗野球試合でも、哲也のおかけで、檀園高校は、対抗試合で、負けたことがなかった。 しかし、哲也は、野球の実力とは対照的に、性格は、内気で無口だった。 韓国の高校の野球のレベルは高い。 強い選手は、たくさんいる。 高校の野球で、対戦校に勝てるからといって、プロで通用するか、どうか、は、わからない。 哲也は、将来は、プロ野球選手になりたい、と思っていたが、気の小さい哲也は、そのため、プロ野球界から、スカウトされるまでは、不安だった。 たとえ、プロ野球界から、スカウトされても、スター選手になれるかどうかは、わからない。 ドラフト一位で指名されても、二、三年で、戦力外通告される選手は多い。 韓国の野球界は、日本と同じく、非情な世界だからだ。 なので気の小さい哲也は、プロ野球界から、スカウトされるまでは、プロ野球選手になりたい、ということは、誰にも言わず、黙々と練習していた。 哲也の父親は、元、プロ野球選手で、しかし、プロになって、三年で、戦力外通告された。 父親は、自分の達成できなかった夢を、息子の哲也に、託して、子供の頃から、野球をやらせた、のである。なので、哲也は、野球が、そんなに好き、というわけでもなかったのである。 しかし、哲也が、野球に打ち込むのには、他にも理由があった、のである。 △ 「哲也君。おつかれさま」 と、試合が、終わった後、いつも、マネージャーの愛子が、笑顔で、ジュースと、タオルを渡すのだが、哲也は、 「ありがとう」 と、一言、、いうだけで、愛子に対して、不愛想だった。 愛子は、哲也に、好かれていない、ことを残念に思っていた。 愛子は、哲也が好きだったのである。 愛子は、そのことで、一人で泣いたこともあった。 いよいよ、船室に、水が脛まで増してきた時だった。 「愛子ちゃん」 哲也が、初めて、愛子に声をかけた。 愛子も、もちろん、死が、一刻一刻と迫ってくる恐怖に、パニック状態だったが、哲也から、初めて、「愛子ちゃん」と呼ばれたことに、驚いた。 愛子は、一度も、哲也から声を掛けたことは、なかったのである。 「なあに。哲也君?」 愛子は、哲也に聞いた。 「僕たちの人生、もう終わりだね」 哲也が言った。 「そうね。さびしいわね。さびしい人生だったわね」 愛子が言葉を返した。 愛子は、もう「死」の覚悟が出来ていた。 それは、哲也も、同じだった。 「愛子ちゃん。死ぬ前に、どうしても君に言っておきたいことが、あるんだ」 哲也が言った。 「なあに?」 愛子が聞き返した。 「実を言うと・・・。僕は、愛子ちゃんが好きなんだ。初めて見た時から、ずっと好きだったんだ」 哲也が言った。 愛子の目が輝いた。 「嬉しいわ。哲也君が、そう思ってくれていたなんて。でも、どうして、それを言ってくれなかったの?」 愛子が聞いた。 「どうしても、言えなかったんだ。悩ませ続けてゴメン。僕は、気が小さくて、慎重だから、プロ野球界から、スカウトされて、プロ野球界で、スター選手になったら、君に結婚を申し込もうと、思っていたんだ」 韓国のプロ野球界も、日本のプロ野球界と同じように厳しい。 結果が全てであり、結果を出せなかったら、翌年、即、戦力外通告である。 野球しか出来ない、哲也は、戦力外通告されたら、時給700円のコンビニ店員にしか、なれない。それでは、愛子を幸せにしてあげることが出来ない。実際、哲也の父親が、そうで、哲也の父親も、高校野球では、怪物とまで言われ、ドラフト一位で、指名されたのだが、プロに入ったら、結果が出せず、三年後には、戦力外通告されてしまったのである。そのため、哲也の家庭は、非常に貧しく、生活は非常に苦しかったのである。それを、目の当たりに見ているので、気の小さい、慎重な性格の哲也が、心配したのは、無理のないことだった。 それが、哲也が、愛子に、自分の気持ちを言い出せなかった理由なのである。 そんなことを、哲也は、愛子に、得々と語った。 「そうだったの。知らなかったわ。でも、哲也君が、告白してくれて、私、幸せだわ」 愛子の目には涙が光っていた。 「もう、僕たちは、まもなく死んでいく。だから、もう、ためらいなく、何でも、言えるんだ」 そう哲也が言った。 「嬉しいわ。哲也君。このまま、死んでしまうのは、残念だけど、哲也君の本心を聞けて、私、とっても、嬉しいわ」 愛子は、そう言って、かなし涙と、嬉し涙、の混じった涙をぬぐった。 「ああっ。愛子ちゃん。好きだ。世界一、愛している」 そう言って、哲也は、いきなり、そして、初めて、愛子をヒシッと抱きしめた。 「私も哲也君が、世界一、好きよ」 そう言って、愛子も哲也にヒシッと、抱きついた。 「愛しているよ。愛子ちゃん」 「私も愛しているわ。哲也君」 哲也には、そして、愛子にも、もう、何のためらいも、こだわり、も、なかった。 「愛子さん。僕と結婚して下さい」 「哲也君。私と結婚して下さい」 二人は、高校生では、普通なら、恥ずかしくて言えない、言葉を真剣に交わした。 二人は、お互いに、相手の目を、しっかりと、見つめ合った。 「キスしよう。愛子ちゃん」 「ええ。哲也君」 二人は、目を瞑って、キスした。 哲也は、貪るように、愛子の唾液を啜った。 船室に浸水してくる海水は、膝の高さまで、達していた。 「哲也君。服を脱いで。裸になって」 愛子が言った。 「どうして?」 哲也が聞き返した。 「だって、私たちは、結婚したのよ。結婚した新婚は、何をする?」 愛子が真面目な口調で言った。 「そうだったね。じゃあ、愛子ちゃんも、裸になって」 「はい」 愛子は、素直な口調で答えた。そして着ている服を、全部、脱いで、一糸まとわぬ裸になった。 二人は、裸のまま、抱き合った。 柔らかく、温かい、肌と肌が触れ合った。 「哲也君。私の胸を揉んで」 愛子に言われて、哲也は、初めて見る、愛子の胸を揉んだ。 愛子の胸は、まだ発育途中だったが、それでも胸は、しっかりと隆起していた。 「哲也君。私のマンコを触って」 愛子は、はしたない隠語を堂々と言った。 もう生きれる時間がないのである。 哲也は、愛子に言われた通り、愛子の股間の、女の割れ目を触った。 そして、手探りで、愛子の、女の穴を探り当てた。 そして、哲也は、愛子の女の割れ目に、指を入れた。 そこは、温かく、そして少し、湿っていた。 愛子は、近くにあった、テーブルに仰向けに乗って、大きく足を開いた。 それは、普通なら、極めて、はしたなく、出来ない行為だった。 「さあ。哲也君。私のマンコに、哲也君の、おちんちんを入れて」 またしても、愛子は、はしたない隠語を堂々と言った。 「うん」 哲也も、テーブルの上に乗って、おちんちん、を、愛子の女の穴に挿入しようとした。 しかし、なかなか、入らない。 初めてなので、無理もない。 しかし、ようやく、やっとのことで、哲也は、京子の女の穴に、自分の、おちんちん、を挿入した。 「やったね。哲也君」 「うん」 「これで、私達、本当に結婚できたわね」 「うん」 「新婚旅行が天国なんて人、私たち、だけだわね」 「そうだね」 二人は、狂せんばかりの恐怖感を、ユーモアで、誤魔化そうと、無理に笑顔を作ってみたが、それは一瞬で崩れ、二人は、堰を切ったように、泣き出した。 「こわい。死にたくない」 愛子が、泣きながら叫んだ。 「こわい。死にたくない」 哲也も、泣きながら叫んだ。 哲也は、体を倒して、愛子の体をギュッと、抱きしめた。 それは、死に対する覚悟からではなく、死に対する恐怖からの激しい抱擁だった。 しかし、海水は、どんどん入ってくる。 「もう、ダメだ」 「死にたくない。死にたくない」 二人の頭は、錯乱状態だった。 二人は、感じることを、全て吐き出すように、様々なことを滅茶苦茶に叫んだ。 そして、二人は、狂ったように、貪るように、キスをした。 錯乱状態の二人は、感情も行動も、滅茶苦茶だった。 その時、ガクンと船の揺れる音がして、ドッと、大量の海水が船内に入ってきた。
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