第二章・ー死闘ー

4/10
前へ
/25ページ
次へ
 “アラストル”と“シヴァ”が交わる度に、激しい火花が辺りに飛び散る。  一進一退に見える攻防の中で、互角であると思えたオフィーリアの方が、徐々に圧されていく。  斬りつけ、避けられ、払い、受け止める一連の動作はどれも素早く、且つとてつもなく重い。  一撃一撃、丁寧に迅速に受け止めなければ、腕の痺れ一つでも気にしてしまえば、たちまちの内に致命傷を負うだろう。  だがそれでも、いつまでもまともに相手を出来るものでもなく、とうとう“シヴァ”に刀身を掬われてしまい、間髪を容れずに“アラストル”を後方へと弾き飛ばされてしまう。  その間にも“シヴァ”を振りかぶるシャークが、狂気の色を滲ませた赤い瞳を細めながら襲いかかってくる。  完全に、一方的に斬りつけられる寸前で、自らの指を噛み鮮血を滴らせたオフィーリアが、咄嗟に形成させた血晶術の剣で受け切った。  辺りに響く、金属がぶつかり合う嫌な音。  とどめを刺せなかったシャークが、血晶術で作られた剣を見て舌打ちする。 「なぁんだ。もうちょっとで()れたのに」  だが、そこで動きを止める程シャークは甘くなく、息も吐かせぬ勢いの猛攻が再開される。  僅かずつ、だが確実に壁際へと後退していくオフィーリアだったが、“シヴァ”を相手取りいつまでも血晶術で作った剣如きが太刀打ち出来るとは、到底思っていない。  間合いと攻撃が繰り出されるタイミングを計り、完全に流れを読んだところで、今度はオフィーリアの方が“シヴァ”をシャークの後方へと弾き飛ばした。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加