第二章・ー死闘ー

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 しかし“シヴァ”は地面へ落ちる事もなく、周りに発生させた蒼い風を巧みに纏い、たちまちの内に主人と認めるシャークの手中へと落ち着いたのだった。  だが、オフィーリアにはそれすら計算済みで、僅かに生まれた隙を利用して、自らの身が安全な内に間合いを取ると、同時に地面に突き刺さったままの“アラストル”を回収する。 「……」 「……」  シャークと視線を交わし、攻撃する手立てを思考する。  双方まだまだ全力を出し切っていないとはいえ、長引けば確実にオフィーリアの方が不利な戦況となるだろう。  そうなる前に、決着をつけておきたいオフィーリアとしては、()()という一手が欲しかった。  だが、シャーク相手に並みの小細工が通じるとは思えないため、仕方なく無意味に考える事を捨て、“アラストル”を構えた。  シャークもそれで“シヴァ”を構えると、激しい攻防戦が再開される。  リズムは一定ではない。さすが、“狂猫の騎士”と呼ばせるだけあって、長身に加えて鍛え上げた体躯の割には、猫のようにしなやかな身のこなしとスピードで翻弄してくる。  オフィーリアとて、動きに遅れを取ってはいない筈だったが、シャークの素早過ぎる動作と不規則なリズムによる攻撃に、どうしても防ぎ切れないものがあるのも、また事実であった。  しかし、初めからそうした実力差は理解していたため、致命傷になるような攻撃だけは防ぐ事に専念している。  その事に気付いている筈のシャークはだが、いまだ何のリアクションも見せてはこない。
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