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これも余裕からくる翻弄なのかと、馬鹿にされているようで癪に障る。
だが、ここで相手の挑発に乗り冷静さを欠いては、まさに思うつぼ、というやつだろうと、折角小細工を弄するつもりなのを敢えてスルーしてくれるのだから、最大限に活かしてやれとばかりに開き直った。
まず、シャークの隙を突き一歩前に踏み出す。そこは即座に反応するだろうから、逆に素早さを利用して、“アラストル”から最大級の黒雷を四方八方、それも近距離で無数に放った。
前々からシャークの身のこなしには、一応は一目置いているため、決して侮らず、むしろこちらが差し向けた黒雷も、全て受け流せるだろう事も計算済みだった。
だが、いくらシャークと言えど、こうも立て続けにあちこちから、しかも同時に反撃がきては、全て受け流せても意識はやはり、僅かにだが霧散する。
オフィーリアは全神経を集中させ、その瞬間を待った。
余程の手練れでないと気付けないその瞬間は、やはりシャークにも例外なく訪れた。
黒雷を絶え間なく発生させてはシャーク目がけて放つ最中、わざと逸らした攻撃にも、反射神経の良さが災いして反応したのを最大のチャンスと見て踏み出す。
容赦なく眼前で“アラストル”を一閃させる。
ーーが、次にきた感覚は、残念ながら肉や骨を断つ独特のものではなく、けたたましい金属音であった。
ほんのぎりぎりで“シヴァ”を滑り込ませたシャークが、不敵に笑う。
それで舌打ちしたオフィーリアと、剣撃による攻防戦が激化した。
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