第二章・ー死闘ー

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「……で、さ。ここからどうすんの、お前」 「……」  話している内にも鮮血は溢れ、敢えて抜こうともしない“シヴァ”の刀身もオフィーリアが流す血に濡れている。  そんな様を横目に、特に何も応えもせず“シヴァ”の刀身を力一杯握り締めたオフィーリアが、何のモーションも見せずにシャークの側頭部目掛けて蹴りを放つ。  ーー骨が折れる重い感触と共に、確かな手応えはあったと思ったが、残念ながら素早い動きで奇襲に反応しきったシャークの腕が、無理に捩じ込ませた状態で側頭部を庇っていた。  本気で頭蓋骨を粉砕するくらい、ありったけの力を込めて蹴りを入れたつもりであったが、ただ腕の骨が一本折れただけだと知って、オフィーリアは舌打ちする。  だが、そのお陰で“シヴァ”を持つ手の力が緩んだ機会を、オフィーリアが見逃す筈はない。  間髪を容れず、今度はアッパーをシャークの顎にお見舞いしてやった。  見事にヒットした拍子にバランスを崩したシャークには反撃の隙も与えず蹴りを入れ、遥か後方へと吹き飛ばすと、その間に渾身の力を込めて“シヴァ”を壁から抜き取り、更に鮮血が流れるのも気にせず投げ付ける。  十中八九当たりはしないだろう事を知っているオフィーリアは、怒りを露にすると、猛攻の手を止める気はさらさらないといった感じで瞬時に状況を把握する。  そうして顎から直接揺さぶられ、通常ならば脳震盪を起こしている筈のダメージであるのに、大して何も感じていなさそうなシャークの間合いに一気に踏み込むと、“アラストル”を一閃させ斬りかかった。
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