第三章・ー収束ー

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「自分、ほんまええ加減にせな……」  ちょっと会話モードに移行した事で、これ幸いとばかりに説教を始めようとした矢先、辺りに軽快な着信音が鳴り響く。  しばらく黙って聴いていたのだが、やがてその着信音が、最近シャークがハマって観ているウサギが主人公の、アニメ主題歌だと気付いて顎で促した。 「……出ぇや」 「あ。うん」  言われたシャークが、骨が折れている筈の腕をものともせず、何事もなかったかのように動かして電話に出る。 「はい。俺です。……え? あ、うん。いやでも。……え。それってイジ……否何でもないですすぐ帰ります」  一通り相手と会話をして電話を切ると、実に珍妙な表情で携帯を見続けているばかりだ。 「……何やて?」 「うぅん。ジョッシュが、俺が仕事サボってるのがバレて怒って、さっさと帰ってこいって……」 「さよか。ちゅうか、誰も引き留めてへんねんさかい、さっさと()ねや」  まるで厄介払いをする手付きで追い出そうとするオフィーリアに、先刻までの迫力など宇宙の彼方に置き忘れてきたかのような、実に爽やか且つにこやかな笑みを浮かべてシャークが言う。 「じゃあ俺は帰るにゃ。皆まったねぇ」  “シヴァ”を袖に入れ、転がっている腕を拾い、それでばいばいする様はかなりシュールだ。 「さっさと失せぇや。ウザいな」 「うん。帰ります」  そう促されたシャークは、きた時と同じく、突然帰って行ったのだった。
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