第三章・ー収束ー

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「……。別にええて。俺が勝手にやっとるだけやさかいに」  素直に手当てを受けながら言う様はどことなく元気というか、いつものような覇気がない。  何やら落ち込んでいるのかと聞いてみると、首を横に振られてしまった。 「初っ端馬鹿猫(あて)がうん、やっぱりキツかったやろか、思てただけ」 「う、うぅん……。ま、まぁ、オフィーリアが見た感じ、ヴェルセルク君の心が折れてる様子はなかったんでしょ? なら大丈夫じゃあないかな?」  治療を完了させて手を止めたシェイカーを見て、オフィーリアが言った。 「()()で立ち止まるようなら、それがあのクソ餓鬼の限界やっちゅうこっちゃ。せやけど、俺はいける思た。やからシャーク焚き付けたんやけどな」 「いつもウチの署員を気にかけて下さって、ありがとうございますぅ」  言われたエルファリスが、嬉しそうに満面の笑みを浮かべて一礼する。 「やから。別にええよ。あくまでも俺が勝手にやっとるだけや」  しばらくそのままでいたが、やがてシャツもスーツも使い物にならなくなった事実を思い出すと、またも長いため息を吐く。 「……シェイカー、何や着るもん貸して」  よっぽど情けなく思っているのか、オフィーリアにしては珍しく頭を抱えると、半ば涙目での頼み事をしてくるのだ。 「う、うん。それは別に、全然良いんだけどさ……。本当に大丈夫なの?」 「あかん。全っ然あかん。今月俺、既に赤字やねん。着る服みんなあかんようなってまう。せやのに、もうすっからかんやねん。服買う金すらあらへん。このままやったら、食費すら危うい……」  オフィーリアが抱える事情を知っているだけに、どんな顔をすれば良いのか分からないシェイカーであったが、取り敢えずで打開策を提案した。
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