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その他、例えば同僚というか、一応先輩であるテイラー=イースタンやその親であるロイナス=イースタン。
こちらの親子は普通にサボり癖があるようだからして、姿が見えないのは、まだ納得がいく。
納得がいく。というのも、何だか変な話ではあるが。
だが、現役課長であるエルファリス=シェラ=ヴェスバニアまでいないのは何だか不自然である。
その上堅物、真面目、融通が利かないの三拍子揃った、時間には滅法五月蝿い筈の、もう一人の課長補佐までいないようだ。
「んだ……? 今日って臨時休業とかか?」
取り敢えず宛がわれている席に着くと、署内に入る廊下の奥から足音が聞こえてきた。
ようやく誰か出勤してきたのかと、文句の一つでも言ってやろうと振り向いたラキは、煙草を咥えたままの格好で固まった。
「あ、こんにちはぁ。ここイグレシオン署陰契課で、合ってるかにゃ?」
にこやかに挨拶してきたのは、明らかに知らない相手であった。
蒼くウェーブがかったぼさぼさの髪を整えもせず、首元にはヘッドフォンを装着して、ダークブラウンのサングラスをかけた青年なのだが……。
長身の青年はライトブルーのソフトスーツを丁寧に着こなし、ブラッドオレンジのシャツに濃紺のネクタイを結んでいる。
「……あ?」
イグレシオン署陰契課と言ったからにはここに用があるのだろうが、基本的には部外者侵入厳禁なものであるからして、物凄く自然且つ当たり前のようにやってきたこの相手にラキは滅茶苦茶警戒心を抱く。
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