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オフィーリアは焦るあまり、ラキの傍に立つ相手も目に入っていないようで、きょろきょろとオフィスを見渡している。
そうしてしばらくしてからようやくの事でラキ、次いで招かれざる訪問者の姿を認めると、深い息を吐きながら二人に近付いてくるのだ。
「何や。自分しか署員おらんのかいな?」
「まぁな。何でいねぇのかは知らねぇが。……とにかく今は、俺しかいねぇ」
「あ、オフィーリアじゃん。くるの遅くない? 待ちくたびれちゃったよ」
存在には気付いているらしいが、今は無視したいようで、物凄く華麗にスルーしたオフィーリアに対して、ラキがそうと応えて、傍に立つ相手も呑気に続ける。
「……“待ちくたびれちゃったよ”やあらへんわ、馬鹿猫。何絶賛勤務中に勝手な事しくさっとんねん。ここに迷惑かけん内に、さっさと帰るで」
それで額に青筋浮かべたオフィーリアが、ブチ切れ寸前の迫力も隠さず吐き捨てるのに、全く構っていない相手が笑い出す。
「にゃはははははは。大丈夫ちゃんと今日の分仕事してきたから。ねぇ。それよか俺、この子と手合わせしたい」
「……は?」
「……あ?」
ラキにとってはまさに寝耳に水の話だったので、突然どういうつもりだと聞き返したのだが、オフィーリアにとっては予想範囲内だったのか、更に怒りの表情を浮かべる。
「あかんに決まっとるやろ。帰るで」
「えー? オフィーリアだって突然乱入して喧嘩売ったんでしょ? ワンチャン、俺もいけるっしょ」
どこがだ、という理屈である。
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