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本編
「知ってる? おれって神様やさけ未来のことが見えるんよ」
はいはい、とわたしは、霧生源士くんの発言を受け流す。「ふぅーん。それで。明日はなにが起きるん?」
「明日の購買ではマヨネーズパンが売り切れる」
はは、とわたしは低く笑いをこぼした。「そんなん……、予知能力がのうたって見えるやん。アホくさ」
なにが面白いのか。たまたま隣の席になった霧生くんは、しきりにわたしに、話しかけてくる。「だからマヨパンは朝一で購買で予約しときまし。マヨパン、冴月さんの大好物やん?」
確かにわたしは、おかんが弁当を作らない日は毎回マヨネーズパンを食べている。あの、ちいさくてまぁるいフォルムに、ほっこり。しっとりとしたマヨネーズがかかっていて、それがまたオーブンで焼かれていてジューシーで、たまらないのだ。
申し遅れました。わたくし、冴月実奈帆と申します。この物語の主人公……、のはず。たぶん。
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