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「実奈帆。マヨパン食べるぅ?」
「要らないってば」けいくんが消えた数日後。屋上で時間をつぶしていると霧生(弟)くんがやってきて、ぽんぽんと、ボールのように、話しかけてくる。――あれ以来、霧生源士くんは、わたしを呼び捨てにしている。いや照れるわ。
「こんなに美味しいのに。はいあーん」
「……けいくん、無事、成仏出来たの?」
「だと思うよ」と霧生(弟)くんはわたしの前で膝をついて座り、「あそこまで明確化されると消去するのは厄介なんだよね……まぁ、この緑川高校に入ったのは正解だったなぁ……だって実奈帆。ほら。後ろ」
――見れば。空から槍が降ってきて、それを、霧生総司くんがキャッチしているところだった。
「驚いたな」と彼は言う。「冴月実奈帆おまえ……相当の呪われ体質なんだな。言っておくけど、おれたちは、神様として、おまえを守る義務がある。今後は、四六時中おまえについていてやるから。覚悟しとけ」
……な。「なに言ってんの……そんなっ」
「だからぼくたちもブラバン入ることにしたんだよ」
「……源士。ブラバンってのは金管楽器のバンドを指す。正確には、吹奏楽部、だ」
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