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「あーあと冴月さんなぁ。明日は雨が降るさけ、傘持ってきましね。それから――うぅん?」じぃっ、……と宝石のように薄茶色い瞳で見据える霧生くんは、「あかん。これはあかん。……冴月さん。いつもと同じ帰り道から帰ったらあかんで。違う道通りまし」
「なにを言っとるん」イタいを通り越してもはや呆れる。「ほしたら、わたしは、部活あるさけそろそろ行くね。……霧生くんも部活とか入ったほうがいいんやない? うちの学校、帰宅部もおるけど、なんだか霧生くんは時間を持て余しとるように見えるさけ」
あ、あー冴月さんおれのこと信じとらん、と叫ぶ霧生くんに向けて一応手を振り、同じクラスのヒナコと一緒に部活へと向かう。
「……実奈帆、霧生くんと随分仲ええな」
「いいっていうか。あっちが一方的に絡んでくるだけやよ」
「ほんでも。……霧生くんってモデルみたいに綺麗やん……お兄さんの総司くんと全然似ておらんねぇ。やぁっぱ二卵性ちゅうが本当なんかね」
「だろうね」
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