本編

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「もし、おれたちが本当の神様、だったなら」皮肉げに兄貴は笑う。「あいつのことを……操るなりして、救うことが出来るだろうに。源士。おまえにはそれが出来るか?」 「忠告はした。言えることは全部伝えた。後は、……信じるばかりだね」  空を見上げた。東京の空と違って田舎である緑川の空は真っ暗だ。夜も九時を過ぎると誰も道を歩かない、ゴーストタウンと化す。東京は渋谷に慣れ親しんだおれたちにとって、この環境は、面白くもあった。  * * *  マヨネーズパンは朝のうちに売り切れた。注文が続出して生産が追い付かなかったらしい。  外は雨だ。念のため折り畳み傘を持参した自身が恨めしい。 「……梅雨にはすこし早いけれどね」こら。ドヤ顔をするな霧生(弟)くん。「緑川って雨が多いよね? 足元がぐずぐずになるからぼくは嫌いだ」 「まぁねー。履くん長靴ばっかになるさけ」一応は霧生(弟)くんに同意はする。「でもな。緑川なんて一年の三分の一以上が雨やさけ。霧生くんの予知なんか信じておらんよ? なんかもうちょっと……説得力のある予知とか出来んが?」
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