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教室を出てなにも考えず家に帰ろうと思い交差点に差し掛かったところだった。向こうから、猛スピードで車がやってくる。突っ込む、と思ったときに、自分のからだが宙に浮いているのを感じた。誰かに――持ち上げられている。
「――弟の忠告は聞かなかったのか?」振り返れば、わたしを持ち上げているのは霧生総司くんのほうだった。てか、わたし、結構重いのに。片手で持てるんかい。
車を見れば田んぼに突っ込んではいるがドライバーは無事だ。と、わたしは地面に下ろされる――が。
「説明しておくと。きみの影はきみの思念体で……安永計の霊でもある」と、指で、なにかの印を作る霧生(兄)くん。「ここまででかくなってしまうとな……。おれたちでなければ消去出来ない」
「ま、……待ってッ!!」わたしは、影と、霧生総司くんの間に入った。「けいくんは……わたしの大切な友達、なんやよ? お願いやから消去するとか……言わんといてま!」
安永計くんは、林間学校で知り合った友達だった。東京の出身で標準語を喋る綺麗な男の子。ずっとずっと憧れだった……なのに。
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