41人が本棚に入れています
本棚に追加
もう一度、緑川に来る前に、事故死してしまった。だから……この影は、けいくんそのもの。
けいくんがわたしにとってのすべて。けいくん以外、なにも、いらない。
「危ないからどいてろ」白い、炎が霧生総司くんのからだから立ち上る。が、わたしは、「いやだ!!」と絶叫した。
「けいくんは……わたしにとって大切な友達なのッ!! 友達を消去するとか言わないでッ!!」
「おまえ……」整った顔を歪める霧生総司くん。「そいつが、成仏できなくても、いいのか?」
返答に窮した。こうしているのがけいくんにとっての幸せ――と、思い込んでいたが。もしかしたら、けいくんの幸せは、違うところにあるのかもしれない。迷いが生じた。そこを、――
『実奈帆ちゃんをいじめるなぁあ!!』
「ぐはっ」影が、霧生総司くんのほうへと伸びていき、嬲る。影が、殴る。そのさまにわたしは戦慄した。「違う……違う違う違う、けいくん!! 霧生くんを攻撃しないで!!」
『実奈帆をいじめるやつはおれが許さないッ!!』黒い影が動き、血を撒き散らす。『ずっと……ずっとずっと実奈帆を、守るって、おれは……決めたんだッ!!』
最初のコメントを投稿しよう!