はじめに

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はじめに

このような内容をこのような場所で書くには、少し抵抗がある。 それは論文を掲載する場所でもなければ、読者も居ないだろうと考えているからだ。 しかし私は逆説的に捉えてみた。 フォーマルを重視されないのであれば、私の持論を投げかけることも許されるであろうと。 私にしか出来ない研究、私にしか出来ない主張。 このような話は世に溢れているだろうが、私の場合は"真実"なのである。 私はかつての詩人と似た人生を強いられている。 それは家庭環境然り、恋愛然りだ。 そして、その苦しみから統合失調症さえ患った。 だからこそ分かるのだ。彼らの苦しみが。彼らの悲願が。 詩に隠された、血で描かれた、生苦しい懇願が。 彼ら、中世フランスの吟遊詩人は、こう呼ばれる。 「トゥルバドゥール」(trobador )と。 彼らは「プロヴァンス詩」と呼ばれる"恋愛叙情詩"を手掛け続けた。 しかし、昨今では「この手の詩は全てフィクションだ」と評価されてしまっている。 その理由としては、史実だったのだと言う裏付けも取れなければ、記録としても壊滅的に遺されていないからだ。 史学としてはそうであろう。 しかし、文化史、とりわけ社会史では違うはずだ。 近代の優れたアナール学派の意匠を受け継ぎ、私も社会史を研究している。 しかし、彼らには"キリスト教の検閲"がある。 恋愛を賛美することは許されない。 史学とのしがらみ然りだ。 だが私にはそのしがらみもない。 この場においては、そんなことを考える必要もない。 だからこそ、私はハッキリと断言することができる。 何を断言するのか?決まっている。 と。 だが、私には手段がない。 従って、この場で書き連ねようと決めた。 当然論文でもなければ、未だハッキリとした確証は掴めていない。 従って、時にはフランク王国建立にまで遡ることになる。 そのような長い持論を持って、裏付けをはかることにする。 そのため、皆様には「100%本当のこと」だとは思わないで頂きたい。 しかし、こうも思って頂きたい。 「99.9%は歴史的事実だった」のだと。 これより、私の経験則の後、数々の中世エピソードを取り上げる。 私の経験則が事実なのと同じように、その後のエピソードも、どうか同じような事実として受け止めて欲しい。 何故彼らに恋愛が必要であったか? 何故恋愛が罪とされた社会で広まった? 恋愛とは何か? 何故人は愛を恋い慕うのか? どうか、楽しんで頂きたい。
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