私の人生譚

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色々なことがあった。 語り尽くせないほどの苦しみも味わい続けた。 しかし、かつての詩人達は、それさえも「恋愛」のエッセンスとしたのである。 それは馬鹿げた事でもなければ、美しい事でもない。 それほどまでに、彼らには愛が必要だったのだ。 それも、想い続ける相手からの「愛」が。 これは私だから分かる。 ところで、私がこの場でこの話を書くにあたって、皆様にお願いしたいことがある。 それは、これから紹介する中世フランスのエピソードと共に、私の恋愛譚も「美しい」と思って頂きたくないことだ。 この愛には地獄の苦しみが付き纏う。 それこそ、ダンテがベアトリーチェを喪った苦しみのような。 あの苦しみを「美しい」と思えるのはだからだ。 当人は、ただただ苦しいのである。 勿論、ダンテが本当に死別したのかは明らかではないが。 どうか、地獄の苦しみが付き纏うことだけは覚えておいて欲しい。 でないと、書いている意味がない。 何故ならば、彼らは「地獄の苦しみが付き纏う恋愛を必要とした」のだから。
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