23. マジで、やばい

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23. マジで、やばい

「ぁ……、っふ、ん……」  ——やべえ。これはマジで、やべえ。  おそらく、今自分は目がぎらついて、きっと引くほど余裕のない顔をしているだろう、と自分で分かる。東堂の中は熱く溶けていて、柔らかいのに、きつく将吾の指を締め付けた。  ここに自分のものを入れることを想像しただけで、ぐうっと将吾の喉が低く鳴る。熱をまとった素肌から立ち上る東堂の匂いは紛れもなく雄のもので、それなのに将吾は身が総毛立つような興奮を覚えた。  早く、入れたい。けれど、東堂に負担を強いたくもない。東堂の漏らす声に煽られながらも将吾は辛抱強く、丹念に、小さな窄まりをほぐした。 「は、ぅあ……ぁあ、っ、も、小野、……もう、いいから、ぁ……」  3本の指で中を探って、東堂の反応が良かったところを何度も指の腹で刺激する。その度に内壁がぎゅうっと締まり、甘い声がこぼれ落ちた。びくびくと跳ねる薄い腹の上で、立ち上がった東堂のものからこぼれた先走りが水たまりを作っている。  自分が特段テクニシャンだとは思わない。だから、東堂の体が恐ろしく感じやすいのだろう、と将吾は思う。そして、この体を作り上げた、この痴態を堪能したであろう東堂の過去に交差した男たちの存在が、どうしたって苦々しかった。 「ッて!」  再三の制止を無視してしつこく責めていた翔吾の脇腹に、とうとう東堂の蹴りが入る。 「おまえ……ほんと、しつこい……」  そう言いながらも、東堂の顔にはどこか安堵したような色が浮かんでいた。それが何に対するものなのか、将吾がはかりあぐねていると、東堂がちらっと将吾の足の間へ視線を走らせる。 「ちゃんと、反応してるんだな……」  心底ほっとしたような声に、愛しさが込み上げる。 「そりゃ、こんだけエロきゃ、するって」  事実を述べただけなのに、なぜか東堂に睨まれた。そんなふうに睨んでも将吾にはもう1ミリも怖くないどころか、一層征服欲を煽られるだけなのだけれど。  言葉ではおどけてみせたものの、同じ男だから東堂の気持ちは将吾にもなんとなくわかった。どれだけ言葉で好きだのなんだの言っても、最後のところ体が反応するか、それとこれは別物だ。その不安は正直に言えば将吾の方にも少しあった。だがこうしてしっかり自分と同じものがついているのを見ても、ただ興奮が上塗りされるだけで、心配したようなことは全くなくて。だから、東堂にも安心して身を任せて欲しくて、その存在を知らせるようにわざと腰を押し付けて屈み込み、もう一度深く深く口付けた。  限界を訴える東堂に再び蹴られ、ようやく唇を解放する。余裕がないのは将吾も同じだった。  自分史上最速と思われるスピードでゴムを装着し、はやる気持ちをおさえて東堂の足を開かせる。男同士はバックでしたほうが体に負担がない、と先ほど見たサイトには書いてあったが、東堂も初めてではないわけだし、何より将吾が顔を見ていたかった。  入口にチュッと先端でキスをさせて、感触を確かめる。ひくん、と東堂の腰が震えた。柔らかく解れきったそこは、少し押せば将吾のものを飲み込んでしまいそうだ。荒い息をつきながら、将吾は最後の確認をする。 「いくよ」  こく、と東堂が頷くのを見届けて、将吾は腰を進めた。 「……あ、ぁ、……っ」 「うわ……すげ」  2人の声が重なる。熱くぬかるんだ東堂の中は、さっき指で感じたのと段違いの快感を将吾にもたらした。まるでそこが意思を持っているように蠢き、締め付けて、もっと奥へと誘う。気を抜けば暴発してしまいそうで、将吾は必死に耐えながら少しずつ隘路を割り開いた。 「っぅ、ん……ぁ、お前の、デカい……っ」  暴発すまいという将吾の必死の努力が一瞬、水の泡になりかけた。そんなカッコ悪いところ、とてもじゃないが見せたくない。煽るなよ、と言いたかったけれど、言葉も出なかった。  なんとかやり過ごして、一番太いところを飲み込ませ、腰を揺すりながら奥を目指す。その時だった。 「んあッ、ひああっ……!」  いきなり、東堂がびくんとひときわ大きく体を跳ねさせた。かと思うと、中がぎゅううっと締まる。 「あ……あ、あぅッ……」  びくびくと腰を震わせ、陶然とした顔の半開きになった口からは赤い舌がのぞいて、壮絶にエロい。痛いほどの締め付けに耐える将吾の額から、ぽたっと汗が滴った。  ——なるほど、ここが……  男も中で感じるポイントがあるのは将吾も知っていた。風俗でもここをマッサージするメニューがあるくらいだから、それなりに知識としてはある。だが、ここまで強烈とは思わなかった。反応があったあたりを狙って再び軽く揺すれば、またあられもない嬌声がこぼれる。 「ぅあ、あ、そこばっか、り、ぃやだ、……もっと、おく、に」  揺すり上げられながら、東堂が訴えた。  ——こいつは、俺を萌え殺す気か。  普段の東堂の澄ました顔からこんなとろけた声が出るなんて、誰も想像すらできないに違いない。将吾は請われるままに腰を掴み、限界に近く張り詰めた己の雄で、ぬかるみを更に深く穿った。  とん、と突き当たる感覚で、最奥にたどり着いたことを知る。 「全部、入った……」  小さな窄まりだった入口は今やぎちぎちに広がり、将吾の怒張をくわえ込んで離さない。凄まじい快感に持って行かれまいとするあまり、将吾は顔をしかめた。  ——マジで、ちんこ溶けそう……  天国を見せてやるよ、なんて安っぽいAVのセリフが頭をよぎるが、このままではこっちが天国を見てしまいそうだ。  は、は、とこちらも荒く息をつく東堂が、とろりと笑みを浮かべた。獲物を食らった獣の満足げな様子にも似て、鳥肌の立つような色気がある。 「も、動けよ」  言いながらも苦しそうに顔を歪ませる東堂に、将吾は少しためらった。こっちがこれだけきついのだから、受け入れている方は相当苦しいだろうと将吾は思う。そのためらいを断ち切るかのように、東堂が自ら腰を揺すった。 「ぅ、分かった、煽んな、って……」  三ツ藤と決裂したあとの東堂の状況では、久しくこうして誰かと体を繋げるようなことはしてこなかったに違いない。久しぶりの行為に体は負担を感じているはずだが、それでも将吾を求めているのだと思うと、たまらなかった。 「ぁ、あ、ん、っく、ぅあ、ぁ……ッ」  初めはゆっくりと、形を馴染ませるように。そのうち、東堂の中もこわばりが解けるように柔くきつく、将吾のものに吸い付くように感触が変わった。そこからは、本能の命じるままだ。  信じられないほど、いい。東堂の中は、比べるのも失礼なほどに、今まで経験したどのナニよりも、よかった。  それでも、なけなしの見栄で、ただ腰を振るしか脳のない男と思われたくない将吾も懸命に東堂のいいところを探る。浅く、深く、緩急をつけて責め立て、追い上げる。浅いところの方が反応はいいが、それだと刺激が強すぎて辛いのか、東堂は奥をねだった。  足を肩へ担ぎ上げて、集中的に奥を責めると、東堂の顔から余裕が消えた。涙を溜めた目はもう焦点を失い、ひっきりなしに甘い声をあげる口からは唾液が溢れて顎に伝う。 「あ、ぁ、も、だめ、っく、あ、ああ……ッ!」  シーツをきつく握りしめ、背をしならせて東堂が極まった。とぷとぷと東堂のものから白濁が吐き出される。2度、3度と体が跳ね、中の搾り取るような動きに、たまらず将吾も精を放った。
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