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「嘘でしょ! あの人凄い優しそうな人だったじゃないですか!
それなのに、半グレとか信じられない!」
「アンタ、本当に何にも知らないんだね」
早希は呆れた様子を見せながら、何も知らない美月に対して説明をしていった。
この界隈は「アーサーグループ」と呼ばれる半グレのグループがあり、「ゼッツ」と呼ばれた先程の男はそのトップに君臨している。
グループの人数は、おおよそではあるが500人以上。
この辺りをうろついている、キャッチ。
そして、乱立しているガールズバー、立ち飲み屋、ホストクラブは、その概ねが「アーサーグループ」の息がかかっており、「ゼッツ」と呼ばれる男はその上がりで巨額の金銭を得ている、との事だった。
「そういうマトモな商売だけじゃなく、ぼったくりバーとかオレオレ詐欺とかも、『アーサーグループ』が関わってるって話だよ。
あと、違法なドラッグとか……」
神妙な面持ちで語る、早希。
が、それを聞く美月は興奮しきっており、何度も固唾を飲み込んだ。
「じゃあ、ゼッツって人は、いつ捕まってもおかしくない、って事ですか?」
早希の話が落ち着きを見せると、美月は何故か目を輝かせながら尋ねる。
「どうだろうねぇ。
あくまで噂でしかないし、ってかそういうので捕まらないようにしてるから、ゼッツ君は『半グレのトップ』としていられんじゃないの?」
早希が答えると、美月は「そうなんだぁ」と大きく頷き、夢想に浸ってしまったのか、しばらく虚空を見つめ続けた。
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