218人が本棚に入れています
本棚に追加
洋服3枚、米倉翔吾のツアーTシャツ1枚。
タオルケット、下着、生理用品。
リュックサックにぶら下げられた、リラックマのぬいぐるみ。
コレが、今の美月の全所持品であった。
今後、自分がどういう人生を歩んでいくかは分からない。
1日、10時間以上も客を求めて立ち続けた事がある。
もしかしたら、このまま野垂れ死にする事もあるかもしれない。
ただ、言えるのは自分の人生がココから好転する事はおそらく無いな、と美月は思い始めていた。
──本当のアタシは、セックスが好きな女の子じゃない。
キモオヤジに触られるのが死ぬ程嫌で、それを我慢する為に「違う自分」を演じてるんだよ。
フラペチーノを一口飲みながら、美月は胸中で愚痴をこぼす。
18歳になれば、一人で客を引くのをやめ、ソープかヘルスといったどこかの店舗に在籍しようか、と美月は思っていた。
もちろん、取り分の半分近くが店舗側に渡る為、一人で客を引くより収入は減る。
しかし、危ない客を未然に防いでくれたり、またはトラブルがあった時に対処してくれる大人がいる、という安心感は、一人での客引きでは決して得る事の出来ないモノであった。
最初のコメントを投稿しよう!