●本当のアタシ

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洋服3枚、米倉翔吾のツアーTシャツ1枚。 タオルケット、下着、生理用品。 リュックサックにぶら下げられた、リラックマのぬいぐるみ。 コレが、今の美月の全所持品であった。 今後、自分がどういう人生を歩んでいくかは分からない。 1日、10時間以上も客を求めて立ち続けた事がある。 もしかしたら、このまま野垂れ死にする事もあるかもしれない。 ただ、言えるのは自分の人生がココから好転する事はおそらく無いな、と美月は思い始めていた。 ──本当のアタシは、セックスが好きな女の子じゃない。 キモオヤジに触られるのが死ぬ程嫌で、それを我慢する為に「違う自分」を演じてるんだよ。 フラペチーノを一口飲みながら、美月は胸中で愚痴をこぼす。 18歳になれば、一人(ピン)で客を引くのをやめ、ソープかヘルスといったどこかの店舗に在籍しようか、と美月は思っていた。 もちろん、取り分の半分近くが店舗側に渡る為、一人(ピン)で客を引くより収入は減る。 しかし、危ない客を未然に防いでくれたり、またはトラブルがあった時に対処してくれる大人がいる、という安心感は、一人(ピン)での客引きでは決して得る事の出来ないモノであった。
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