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「ちょっと、興味本位で訊きたくなったんですよね。
ココにいる人って、どういう人生を送ってきたんだろ、って思って」
「アンタ、ココに立ち始めて、まだそんな経ってないもんね」
早希は太眉をピクピクと動かすと、美月に向き直り、真摯な表情で語り始めた。
「でもさ、たとえ興味本位でも軽々しくココにいる人の過去を訊かない方がいいよ。
多分、アンタもそうだけど、皆、結構ハードモードな人生を送ってきてるから。
私はいいけど、他の子とかにそれ訊いたら、わめくか泣くかキレるかされるかもだよ」
「ゴメンなさい……」
「で、アンタの親はどんなだったの?」
前言を翻す早希の質問に、美月は吉本新喜劇みたくズッコケそうになった。
「訊くな、って自分で言っといて、こっちに訊いてきますか」
「お返しだよ。先にアンタが私に訊いてきたんだから。
答えたくなかったら別に答えなくていいけど、答えられんのなら答えられる範囲で教えてよ」
「まっ、どっか訊いて欲しい気持ちがあったから、アタシも姉御に訊いたかもなんですけどね」
美月は苦笑すると、ダークブルーに染まった空を見上げながら語り始めた。
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