溶け合う:side蒼生

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目の前に幾つもの光がフラッシュする。 血液が逆流して一瞬くらりと眩暈がした。 だがそれは全く不愉快なものではなく、これから始まる幸せへのファンファーレのようだった。 それらが治まってくると、入れ替わるように多幸感というのか、全てに満ち溢れた高揚感に包まれ、暫しぼおっとしていた。 そうだ、祐也!!祐也は!? 慌てて顔を覗き込むと、祐也は全身を赤く染め大きく目を見開き、ぷるぷるとその身を震わせて、はふはふと忙しない呼吸をしていた。 目の焦点は、合っていない。 「…あ…はっ…あ…」 何か言おうとしているようだが、言葉にならない。 吐息のような甘い声を発するだけだ。 「祐也、大丈夫か?」 声で俺のことを認識したのか、深い息をひとつ吐いて、安心したような顔をしてゆっくりと目を閉じてしまった。 「祐也っ!?」 揺り動かして起こそうとしたが気を失ったようで、祐也はそのまま軽い寝息を立てて眠りに落ちた。 大丈夫そうだ。 大きく息を吐いて、頸につけた俺の噛み跡を確認する。 くっきりとついた歯型は皮膚を抉り、血が滲んでいた。 「こんなに酷くするつもりなんてなかったのに。」 ぼそりとひとり言が口をついて出た。 手当てしてやらなきゃ。 俺は祐也をベッドに横たえると、救急箱を取りに走り、ガーゼ等を整える。 「少し滲みるかも。ごめんな。」 ガーゼを湿らせていくと、ツンとした消毒液の臭いが鼻につく。 俺達のフェロモンが掻き消されてしまった。 残念に思いながら傷跡をそっと拭き取ると、痛かったのか祐也が「うっ」とひと言呻いて身を捩った。 「ごめんごめん、少しだけ我慢して。」 痛くないように注意しながら手当てを終えると、ぺたりと貼り付けた絆創膏のせいで、番の印が隠れてしまった。 でも。 これでもう俺達は、誰が何と言おうと正真正銘の番となったんだ。
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